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無限の成層圏 虹になった男
十話
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世代機《アンティーク》が私の前に立ち塞がるとはな」

 「いまだに量産の目途が立たないドイツ製の第三世代機(ルーキー)よりはいい動きするよ」

 ボーデヴィッヒの肩……あれはレールガンか。宇宙世紀では一、二発で銃身が駄目になる欠陥品だったが、ここに持ち出している以上ボーデヴィッヒのそれは実践に耐えうる仕様なのだろう。
 ……というか、ボーデヴィッヒは誰に喧嘩を撃っているのかわかっているだろうか。

 「……ねえ」

 鈴の衝撃砲がボーデヴィッヒに向く。

 「あんた、あたしらに喧嘩売ってるってことでいいわよね」

 セシリアがスターライトを構え、箒がブレードを構える。私はBITを既に展開済み、ボーデヴィッヒに纏わりつかせている。

 「…………」

 緊迫した静寂を破ったのは、アリーナのスピーカーだった。

 『そこの生徒達、何をしている!学年とクラス、出席番号を言え!』

 その言葉でやる気をなくしたのか、それとも妙に規律だけは守るのかボーデヴィッヒはレールガンの銃口をそらした。

 「……ふん、今日は引こう」

 そう言ってアリーナの出口に飛翔するボーデヴィッヒ。シャルルは一夏に寄り添う。

 「一夏、大丈夫だった?」

 「あ、ああ。助かったよ」

 しかし、シャルルの技量はすさまじかった。この武装の切り替えの速さに機体が持ちうる火器類が合わされば、たいていの相手は翻弄されて終わるだろう。

 「しかし、もういい時間だな。我々も戻るとしないか」

 「わかったよ。みんなは先戻ってて、僕は少し調整して戻るから」

 「なんだ、じゃあ待ってるぜ」

 一夏の返しに、思わず驚くシャルル。

 「なんで!?別に戻ってていいでしょ!」

 「たまにはシャルルと裸の付き合いがしたいもんだぜ。なあシャア」

 「……一夏君。欧州には裸を見せ合う文化がないとこの前言ったばかりなのだが」

 私が言うと、渋い顔をする一夏。なんだってこう裸を見せ合いたがるのか。日本人は皆そうなのか?

 「……まあ、そうだよな。じゃあ俺たち先戻っているから」

 「ううん、全然いいんだよ」

 「じゃ、行こうぜシャア」

 「うむ」

 そうして私達はアリーナを後にした。ドイツの第三世代機、三人目の乗る機体と彼の技量、色々なことが知れて私としては大いに満足した結果となった。

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