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無限の成層圏 虹になった男
九話
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装着を手伝ってあげてください。取り敢えず午前中は動かす所までやってくださいね』

 山田先生からプライベートチャンネルで指示が来た。まずは乗る事から始めさせよう。

 「さあ、此方に来て。何、怖がる事はない」

 「は、はい!」

 取り敢えず列の先頭にいた子を手招きする。やけに緊張している様子だ。

 「あ、あの……訓練機に届かないんだけど」

 「おや、それはいけないな。どれ……」

 そう言って、私は屈む。

 「お手を拝借」

 「はわあ……」

 そのままお姫様抱っこの様に持ち上げ、訓練機の前まで行く。

 「まずは足からだ。ゆっくりでいい、焦らないで」

 「ひゃ、ひゃいいぃ……」

 そのまま訓練機に生徒をするりと送り込む。

 「心配する事は無い。ゆっくりと、歩く所から始めればいい。手を前に出してくれ」

 「手を、こう?」

 「そうだ、そのまま……」

 生徒にはその状態のままでいてもらう。そして私が前に行く。
 そして生徒の手を取った。

 「よし先ずは右足からだ。一歩ずつ前へ」

 「こ、こんな感じかな」

 「そんなに緊張する事は無い、いつも歩くようにやればいいんだ。そのまま左足、右足、左足……よし、大分うまくなっているだろう」

 「は、はい!」

 そうやって、訓練を進めていった所、後ろからガツンと何やらぶつかるものが。
 振り返ってみれば、セシリアがBITをこちらにぶつけていた。
 そして、セシリアからプライベートチャンネルで言葉が。

 『……何かな、セシリア君』

 『別に。……随分優しく教えて差し上げるのですね』

 『相手はまだ、ISに乗った事のない素人だからな』

 そう告げても、セシリアはいら立ちを隠しきれない。

 『……わかった。今度つきっきりで日本語の勉強に付き合おう』

 『絶対ですからね』

 そう言って、セシリアとのプライベートチャンネルを切った。やれやれ、思春期の少女というものは扱いが難しい。
 とは言え、この班での訓練は滞りなく行われた。
 途中、皆が立たせた状態でISを降り続けるといったアクシデントもあったが、おおむね順調に進んだ。
 まあ、こんなものだろう。しかし、教師、という選択肢も悪くない、と私は思った。

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