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無限の成層圏 虹になった男
二巻
八話
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 まったく、酷い言い様である。

 「でもさ、あんだけの技量を持ってるんならシャアの専用機ってすぐ来るんじゃないか?」

 「今の所、私にそう言った話は来てないな」

 「でも、時間の問題って感じですわね」

 「はーやだやだ。化け物に本当の専用機持ってこられたら手が付けられなくなるんじゃないの」

 そうやって、穏やかに話は進んでいく。
 こういった日常が、私の心に染み渡る。
 こんな掛け替えない時間を守るためにも、一層精進せねばと私は思った。









 「それでさ、弾のやつがすげぇコンボ決めてきてな……」

 夕食後、就寝前の自習時間。私は一夏と話していた。

 「そういえばシャアって格ゲーやるのか?」

 「生憎、生まれてやったことが無いな」

 「まじかよ、人生損してるって。今度の外出日一緒にゲーム探しに行こうぜ」

 「ああ、それもいいな」

 ゲームなど、やっている暇がなかったからな。あの頃(宇宙世紀)は。

 「最近は減ってきているけど、ゲーセンなんかもあるしな。今度行ってみようぜ」

 「ゲーセン。まるで行った事は無いな」

 「日本文化の勉強ってことでさ」

 そうだな。もうあの頃とは違う。たまには娯楽に興じてみるのもありだな。

 「ところでさ、夕食の時なんだけど……」

 「どうしたんだ、一夏君」

 「箒のやつ、なんかおかしかったな。全然喋らないし」

 それには私も思い当たる事がある。

 「恐らく今日の模擬戦で、結果を出せなかったことだろう。落ち着いた時に、優しく語りかけてやると良い」

 「そうかな、そうしてみるよ」

 「ああ、そうすると良い」

 そうすれば多分、箒は落ちるだろう。まあ元々落ちてるようなものだが。
 さて、次の会話の楽しみが増えたな。

 「そろそろ消灯だ。明日も授業で朝が早いし、寝ることにしよう」

 「ああ、お休み、シャア」

 「お休み」

 そう言って、私は部屋の電気を消した。
 ベッドに横になった時、ふと思う。
 そういえばガルマとも、こんな馬鹿話をしたものだ。
 あんなに大切にしていた友人を、なぜ殺してしまったのか。
 部屋は暗く、まるで宇宙の様だ。ただ、星がない。それが私に堂々巡りに考えさせられる。
 ガルマの事、カミーユの事、アムロの事、____ララァの事。
 何時だって私は、自分の犯した過ちに気づいては苦しんでいる。
 だが、そうでなければ変われない。
 もうあの頃の様ではいけないのだから。
 六月上旬、暑さが顔を見せ始めた頃。
 私の一日は、こうして終わる。

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