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無限の成層圏 虹になった男
六話
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ら死人が出かねない状況でも動じないのは、流石教師といったところなのか。

 「織斑先生、今珈琲に入れたの塩ですけど」

 「……なぜ塩があるんだ」

 前言撤回、使えない大人が二人増えた。しっかりと動揺している。
 しかし、所属不明機が二機……いや、何かおかしい。

 「セシリア君」

 「はい。一夏さんと鳳さんに対峙しているのが一機、もう一機は……何かを待っている?」

 セシリアもピンと来たようだ。所属不明機二機の内、片方はアリーナ中央でじっと佇み、もう片方は一夏と鳳と戦っている。
 いや、あれは戦いになっているのだろうか。鳳と一夏の波状攻撃を完全に避けきっていて、攻撃はしない。
 否、もう片方に危害が加えられそうになった時に、能動的に攻撃に転じていた。
 ともすると、やはり結論は……

 「誰かを待っている、か。少なくとももう一機が追加でやってくると言う訳ではなかろう、只の待ち合わせにしては大仰だ」

 織斑先生が、塩珈琲を山田先生に押し付けて会話に参加してきた。少しは落ち着いたのだろうか。

 「となると、待ち人は誰か、という話になるが……」

 そう言いながら、織斑先生は此方を見た。
 いや、織斑先生だけじゃない。この場にいる全員が私を見ている。

 「……まあ、そういう事でしょう。織斑先生、このアリーナは現状、隔離されているとみて間違いないですか?」

 「遮断シールドはレベル4、全ての扉がロックされている」

 「政府への助勢は」

 「既にやっている、精鋭がシステムクラック中だ。完了次第、学園の部隊が突入する手筈だろう」

 私とセシリアの問いに、織斑先生がそれぞれ答えた。できることはやっているのだろう。

 「とはいえ、時間は掛かる。それにその間、素直に大人しく待っていてくれるわけでもないだろうしな」

 そう言って、只案山子の様に佇む一機の所属不明機を見やる織斑先生。そうだろうな。
 だとすれば、私のすることは一つだ。

 「織斑先生、出撃の許可を貰えますか」

 「シャアさん!?」

 セシリアが驚いたように声を上げるが、今はそれを無視する。

 「……何処の誰か、狙いは解らん。ともすれば、男性IS起動者の抹殺が命令されているのかもしれない」

 「それならば、今一番危険なのは先生の弟君です。ですが現状、それらしい手は打ってきていません」

 「相手の思惑が分からない状態で、貴様が出るのか」

 「無論」

 織斑先生の言葉に私が返す。

 「出たからには、全て撃墜(おと)してみせます」

 私の言葉に、漸く織斑先生は出撃の許可を出した。











 「一夏君、鳳君。私が出る」

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