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無限の成層圏 虹になった男
一巻
二話
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か?」

 「ああ、構わないよ一夏君」

 「そっか!よろしくなシャア」

 成程、人付き合いが苦手というわけではなさそうだ。むしろ、率先して人とのやり取りをしたがるようだ。
 彼が差し出した手を握り返すと、楽しげな雰囲気で一夏が話す。
 
 「いやあ、俺のほかにも男がいてくれて助かった!俺一人じゃ心細くてな」

 「いや、むしろたくさんの女性に囲まれているんだ。男として喜ばしい事じゃないかな」

 「おお!シャアってもしかして肉食系か?」

 「いや、私にはとても。……一夏君はどうなんだ」

 「俺にも正直、気苦労の方が大きそうだよ」

 そういって肩をすくめる一夏。色を好むってわけでもなし、か。いたって普通の好青年だ。
 むしろ、周りの方が気がかりだ。
 皆、平静を装って会話するものや奇異の視線を隠さないもの、誰もが私たちの会話に聞き耳を立てている。
 まあ、数少ない男性IS起動者ともなれば当然か。それに皆若い。思春期なら女ばかりかと思われた学園生活に男を放り込めば、こうもなる。
 そう考えていると、打って変わって今度は申し訳なさそうに一夏が口を開いた。

 「その……なんだ、ごめん」

 「何がだ?」

 「俺の、俺がISを起動したせいで。IS搭乗者としての道しか残ってなかったんだろ?ほかにやりたいこともあっただろうに……俺のせいで、全部閉ざされちまった」

 ふむ、気遣いもできる。優しい男だ。

 「かまわないさ。それにISに乗るのだって別に嫌なわけじゃない」

 「そうなのか?」

 「ISは、宇宙での活動を主目的としたパワードスーツだ。宇宙に行けるとなれば、男なら心躍るだろう」

 「そっか、宇宙か!たしかに、それなら楽しみだな!」

 実のところ、この言葉は本心だ。
 この世界に生まれついて十数年。生粋のスペースノイドたる私には、少し宇宙が恋しくなる時がある。
 それに、もしかしたら____

 「……ちょっといいか」

 ____少し感慨に浸っていると、一夏の後ろから声が聞こえた。

 「……箒?」

 肩下まである髪を白いリボンで結ったポニーテールの、いかにも大和撫子って感じの少女だ。どうやら一夏と知り合いらしい。
 しかし、近づいてくるのにすら気づかないとは、少し深く考え込んでしまったようだ。この癖は直さなくては。

 「……廊下でいいか?」

 「お、おう。えっと、すまんシャア」

 「構わないとも」

 そう言うと、一夏は少女に連れていかれた。
 それと入れ替わる様に、影が一つ私の隣に。

 「……まさかあのようなことを考えていたのですか?シャアさん」

 「あのようなこととはなんだ、セシリア君」

 
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