第百五十七話 下品な奴その十
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「あの人は」
「それが違ったのよね」
「そう、昔はケルト系は差別されていて」
アイルランド系がまさにそうであった、ジャガイモ飢饉から移住してそのうえで辛酸を舐めつつ立場を勝ち取ったのだ。
「スコットランド系もね」
「結構だったのね」
「しかもカトリックだったから」
当時のアメリカはプロテスタントが主流であったのにだ。
「それも信心深かったらしいし」
「余計に辛い立場だったのね」
「そうだったのよ」
「士官学校で優秀でも」
「それでもね」
陸運士官学校創設以来の秀才とさえ言われていた。
「WASPじゃなかったのよ」
「そこは大事ね」
「流石に今WASPとか言わないけれどね」
「時代が変わって」
「メキシコ系も増えたし」
「他にも色々な人いるし」
「カトリックの人も多いしね」
「アフリカ系やアジア系の人もいて」
「ユダヤ系だってね」
「本当に色々な人がいるわね」
「それで差別も相対的に見て」
そうしてというのだ。
「結構以上にね」
「ましになったのね」
「それは事実よ、ケルト系でカトリックの大統領も出たし」
ケネディがそうである、彼ははじめてWASPでない大統領でもあったのだ。アイルランド系でカトリックであったのだ。
「アフリカ系の大統領だってね」
「出たし」
「もうね」
「昔に比べたら」
「差別もましになったわ、変な人はまだいて」
「移民がどうとか言っても」
「言う連中の方がおかしい」
まさにというのだ。
「そうなったこともね」
「事実ね」
「そうよ」
実際にというのだ。
「有り難いことにね」
「よかったわね、日本でもね」
「差別ってあるしね」
「これがね、やっぱり差別はね」
留奈は心から言った。
「ない方がね」
「いいわね」
「それが第一よ、というか部落差別ってあるけれど」
日本にある差別の一つである。
「別に生まれがどうでもね」
「変わらないわよね」
「犯罪者じゃないでしょ」
留奈は心から言った。
「被差別部落に生まれても」
「それでもよね」
「問題なのは悪人で」
「犯罪者よね」
「西成にね」
凄く嫌そうな顔になってだ、留奈はアメリカの娘に話した。
「物凄い下品で卑しいボクサーの一家いたけれど」
「よりによってメキシコに言った」
「あんたのルーツのね」
「あいつ等よね」
「あいつ等がどんな生まれでもね」
「はっきり言って嫌な連中よね」
「品性もスポーツマンシップもないね」
そうしたというのだ。
「最低の連中よ」
「そうよね」
「あの連中は人間としてよ」
その生まれに関係なくというのだ。
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