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冥府の寺
第四章

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 池田は冥府の寺で今度は野口英世に教わりそのうえで学業も身に着けた、だがここで彼はわかったのだった。
「もてるには性格ですね」
「能力でなくだな」
「はい、性格がいいと」
 谷崎に道場で話した。
「もてますね」
「やっとわかったか」
「はい、色々やってみて」 
 空手に学業にというのだ。
「今学校で滅茶苦茶もててる奴いますが」
「性格がいいか」
「聖人ですよ」
 そう言っていいまでの人格者だというのだ。
「本当に。ですから」
「またあの世に行くか」
「いや、そいつずっと真面目で親切で」
「自分を磨いてきてか」
「そうなったんで、俺もです」
「努力していくか」
「はい、そうして」
 そのうえでというのだ。
「自分を磨いていきます」
「それは何よりだ、幾らあの世で修行してもな」
「結局は一晩ですね」
「一晩だけで済ませようと思わずな」 
 そうではなくというのだ。
「じっくりとな」
「努力してこそですよね」
「よくなる、ではな」
「はい、腰を据えて努力して」
「人格を磨いていくな」
「そしてもてる様になります」
 こう言うのだった。
「これからは」
「もてたいということが理由なのはどうかと思うが」
 谷崎は池田にそれでもと話した。
「大事であるのは人格だと気付いたことはいいことだ」
「そうですか」
「そして努力はすべきであり」
 そうしてというのだ。
「それが一朝一夕でならぬことがわかったこともな」
「いいことですか」
「そうだ、二度冥府の寺に行っても心は磨かれぬかと思ったが」
 強さと学業は備えてもというのだ。
「遂に気付いたな、ではこれから精進してくれ」
「もてる為に」
 池田は強い声で言った、そしてそれからは人格を磨く様にした。すると性格がいいと周りから好かれる様になり。
 彼はもてる様にもなった、しかし人格者となったその時には彼はもうもてずともいいと思う様になった。大事なのは人と世の中にどう尽くすのか、そのことを考え二度の夢の中での寺の修行で得たことも活かす様になった。谷崎はその彼を見てこれでいい、彼を寺に送ってよかったと頷いたのだった。


冥府の寺   完


                 2024・9・12
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