第二章
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「どれだけ素晴らしいか」
「そう言うんだな」
「サルトルのタブラ=ラサだろうか」
「白紙の状態だな」
「それ自体がこのうえなく大事なもので」
そうであってというのだ。
「それをどうよくしていくか」
「それが大事か」
「この世で最も」
「それで君はそう言うのだな」
「そう考えてね」
そのうえでというのだ。
「君にも話している」
「そういうことか」
「そうだ、その最も大事なものを意識して」
そうしてというのだ。
「そのうえでだよ」
「よいものを備えていくことか」
「純粋、無垢に加えて」
そこにというのだ。
「さらにいいものを備えていく」
「人はそうすべきか」
「そう考えている」
「成程、君の考えは誤解を招く表現にしても」
それでもというのだ。
「いい考えだ、ではな」
「それではか」
「君も少女の秘宝をだ」
彼自身が言うそれをというのだ。
「大事にしていくな」
「勿論だ」
バーボンが入ったグラスを手に笑って答えた。
「僕自身が言っている通りにね」
「そうするか」
「そう、そして」
そのうえでというのだ。
「よいものを備えていくよ」
「そう考えている君に乾杯だ」
ワンは友人の考えをここまで聞いて笑顔で言葉を返した。
「引き続き飲もう」
「そうするか」
「そう、そして」
そのうえでというのだ。
「私はこれからも命を大事にして」
「僕は少女の秘宝をだね」
「大事にすることだ、だがその造語はな」
「止めた方がいいか」
「誤解される、哲学者独特の癖でもな」
ブロディ自身が言う勿体ぶった造語を生み出して使いたくともというのだ、ワンはウイスキーを飲みつつ話した。
「よくない、だからな」
「言葉は変えるべきか」
「それは言っておく」
「前向きに考えるべきか」
「そう思う」
友人に率直に告げた、その忠告を受けてだ。
ブロディはその表現は使わない様にしてただ純粋と無垢と表現した。すると誤解されなくなった。だが。
後日ブロディはワンに顔を顰めさせて言った。
「少女をどうとか言って」
「買春する酷い話はあるな」
「それは哲学でも何でもないよ」
「変態的性的嗜好に過ぎない」
「女性が好きなのがいいが」
「相手の年齢を考えることだ」
「そもそもまだ年端のいかぬ相手をそうした対象にすることは」
それはというと。
「倫理的にも心理的にもおかしい」
「全くだな」
「そのことは許せないよ」
「私もだよ」
二人で話した、そしてこうした事件は本当に起こって欲しくはないとあらためて思うのだった。そしてブロディはこれは秘宝ではなく犯罪だと言い切った。
少女の秘宝 完
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