第一章
[2]次話
小さな縁
最初は前を通っただけだった。
三矢凛はそこが何か全く知らなかった、だが。
「あの高校行きたいのならなの」
「そう、信者さんでないとね」
母の澄子に言われた、母娘共にやや面長で大きなはっきりした二重の目と長い睫毛を持っていて細く奇麗なカーブを描いた眉を持っている。背は一六〇位でスタイルがいい。黒髪は長く違う部分は母には目尻に皺があるかどうか位だ。
「入試もよ」
「出来ないの」
「そう、あの高校に行こうと思ったら」
「じゃあ入られないわね」
凛はそれならと言った。
「公立行くわ」
「いや、行けるわよ」
母は娘にすぐに言った。
「だって大叔母さんが信者さんでお父さんもよ」
「あの宗教の信者さんなの」
「だからね」
それでというのだ。
「あんたもね」
「入試受けてなの」
「入学出来るわよ」
「そうなのね」
「偏差値も丁度いいし」
その高校のレベルでというのだ。
「あそこは何かと設備もいいから」
「そんなにいいの」
「ええ、それに校風もいいっていうから」
だからだというのだ。
「行けるならね」
「行くべきなの」
「ええ、入りたいって思ったのは偏差値からよね」
「丁度だからね」
「それも縁よ、縁があってね」
そうしてというのだ。
「それでいい場所に行けるならよ」
「行くべきなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「受けなさい、あとあんたもあの宗教の信者さんになるわよ」
「あの高校に行ったら」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「まずは受験勉強頑張って」
「入試を受けるのね」
「そこで落ちたらそれまでだけれど」
それでもというのだ。
「受けてみなさい」
「受けられるから」
「これも縁よ」
母はまたこう言った、そうしてだった。
実際に受験勉強を頑張って入試に挑んだ、すると合格し入学することになった。そして入学するとだった。
普通の学校の勉強だけでなくその宗教の勉強もする様になった、凛はその宗教の教えが実によく心に入り。
「制服も好きだし」
「紺のあれね」
「膝までのスカートで首筋は細い紺のリボンでね」
母に家に帰ってから笑顔で話した。
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