GGO編
百話 模擬戦闘
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…………」
シュピーゲルが飛ばされたのは、ビルの一部屋のような場所だった。
そこら辺にはビジネス用の机や椅子が有り、障害物になっている。
「…………」
彼はセオリー通りに壁に駆け寄り、背中を押しつけるようにすると、周囲を見渡して人知れず笑う。
シュピーゲルこと新川恭二は、今は最早勝てなくなってしまったものの、このゲームに関しては非常に古参なプレイヤーである。その為、このGGOと言う世界に関するあらゆる面で、非常に大きな知識を持っていると言えた。
その知識の中には当然、現在自分が居る場所の知識も含まれている。
現在自分が居るのは、ステージ名「大窓の廃ビル」。
その名の通り、各部屋のほとんどに配置されている壁を丸ごと窓にしたような巨大な窓が特徴の廃ビルである。
外見的な所だけならば特徴は以上だが、このビルの地形には実は攻略法が有る。このビルは、今彼が居る一部屋に居る場合、その部屋からビルの内側に有る廊下に続くドアを開いておくことで、ビルの内部に有る階段と、外部の非常階段をほぼ同時に射程に収める事が出来るのだ。
また、このビルは音が響きやすく、相手が上に居る場合や階段を上り下りしている時すぐに音が伝わるので、彼が何処に居るのか。あるいは階段を降りて来たり登って来たりすればすぐに分かる。無論、此方もそのリスクは同じだが、既にシュピーゲルは廊下に続くドアをゆっくりと開いて待機しており、既にそこから動くつもりはない。階段を下りてきた、あるいは上がってきた所を仕留める。そう思いながら、新川は腕の中にあるAR-10と言うアサルトライフルの感触を確かめる。丁度その時だった。
コツン……コツン……
「っ……」
音が聞こえ、シュピーゲルは息を詰める。
すぐ上だ。廊下のなかを歩き、彼が今居る部屋の真上に居る。このビルは確か五階建ての筈だが、今自分が居るのはどこかまでは彼にも分からない。おそらくは窓のケl式から察するに三階程度だろうが……
と、音が非常階段の当たりに差し掛かった。
ゆっくりと、音をたてないように注意してシュピーゲルは銃口を非常階段の方に向ける。そして金属質な足音を立てながらその音は……
カツン……カツン……
上へと上がって行く。
小さく舌打ちをして、シュピーゲルは再び壁に背を押しつけた。
音は、どうやらビルの各部屋を調査して回っているようだった。つまり、まだ此方の位置はばれてはいないと言う事だ。一つ上の階に上って行った音は、そのまままたしても非常階段で更に上に上る音が聞こえると同時に、聞こえなくなった。
今いるのが三階ならば、恐らく今奴がいるのは屋上の筈だ。
屋上にも居ないとなれば、間違いなくあちらは下へと降りて来るだろう。
その音が聞こえた時。
『それが彼奴の最後だ』
そうして
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