暁 〜小説投稿サイト〜
野球チームの月刊誌
第四章

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「巨人のことなんて」
「新聞でも見たくないしね」
「記事でもよ」
「巨人のなんて見るだけで嫌だよ」
「だから今も言ってるし」
「買う筈ないよ」
「だったらそれでいいな、勿論お父さんも買わない」
 父は子供達に告げた。
「何があってもな」
「お母さんもよ」
 母も同じ考えだった。
「巨人の本は買わないから」
「うん、買わないでおこう」
「絶対にね」
 二人はそれならと述べた。
「何があってもね」
「そうしようね」
「ああ、それで何を買うんだ」
 父は子供達の言葉を受けてから問い返した。
「二人共」
「漫画買って」
「私もね」
 兄妹はそれぞれ言った。
「ハニーレモンソーダの最新刊」
「僕はワンピース」
「それにするわ」
「それするよ」
「わかった」 
 父はそれならと頷いた、そのうえで言った。
「漫画のところに行こうな」
「うん、月刊タイガースはうちにあるし」
「月刊カープもね」
「今ここに買いたい本ないし」
「それじゃあね」
「そっちに行こう」
 父はこう言って二人のそれぞれ買いたい本を親として買ってやった、自分も買いたい本を買ったのは言うまでもない。
 二人はそれぞれの応援するチームの雑誌を買い続けた、そして。
 月刊ジャイアンツには強烈な拒絶反応を見せていた、それは変わらず。
「何がいいんだか」
「巨人なんてね」
 自宅で話していた。
「負ければいいのに」
「ずっとな」
「万年最下位でいいわよ」
「全くだよ」
「巨人が強いと」
 千佳は怒った顔で言った。
「世界が悪くなるわ」
「それだけで」
「景気が悪くなるし」
「そうだよ、巨人が勝ったら」
 寿は妹の今の言葉について言った。
「皆気分が悪くなって」
「元気がなくなって」
「その分お仕事やお勉強にだよ」
「影響が出てね」
「それでだよ」
 その為にというのだ。
「景気が悪くなるんだよ」
「巨人が勝ったらね」
「それだけでね」
「景気が悪くなるわね」
「そして」
 さらに悪いことがあるというのだ。
「暗くもなるよ」
「巨人が勝ったら」
「世の中もね」
「悪い連中がのさばる世の中なんて」
「それこそだよ」
 最早というのだ。
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