第54話 =最後の決戦前=
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=第75層 ボス部屋前=
このボス部屋前はデータやら何やらで重くなるらしく、ここも例外ではなかった。広い回廊の脇には太い柱がいくつも列をなし
その先には透明感のある黒曜石みたいなので作られた扉がある。ゴツゴツと荒く造られた下層のものとは違うので恐らくレベル
が変わるということを教えてくれているんだろう。
「……称号も【抜刀騎士】だから問題ない…アイテムも……よし」
「…リクヤ…」
横を見ると、不安そうな顔をしたユカが準備万端で立っていた。
「…なんだよ…珍しく不安がってるな」
「……仕方ないでしょ…なんだか嫌な感じがするし…」
「まぁな…でも」
そういいながら少し俺より背のでかいユカの頭をポンポンと叩く。結構シュールだけど…
「ここも生き抜いて現実に帰ろうぜ」
「…えぇ……」
「だから回復とかは任せたぜ」
「そっちこそボスはよろしくね」
ユカの言葉に「わかった」と言おうとしたところ頭に思いっきりぶつかってきた水色の物体が。…ピナかよ…すぐ回復するから
いいけどほんの少しだけHP減ってるし。
「リクヤさん、大丈夫ですか?」
「…大丈夫大丈夫…。シリカも大丈夫か?」
「…はい、わたしは大丈夫ですよ」
その表情は少しだけ無理をしているのが簡単に読み取れてしまった。やっぱりリーダーっていうのがプレッシャーなのか…でも
シリカは今までリーダーとしてたくさん活躍してくれたのは近くにいた俺たちが十分に判ってる。
「シリカ…俺たちが支えるからそれ忘れるなよ」
「………はい!」
その元気な頷きにピナも「キュー!!」と大きな声で鳴く。
「皆、準備はいいかな。今回、ボスの攻撃パターンに関しては情報は皆無だ。基本的には我々血盟騎士団が攻撃を食い止めるの
でその間に可能な限り攻撃パターンを見切って柔軟に反撃してほしい」
その声に思わずつばを飲み込む…。ようやく始まるんだな…。ギルドは大体ギルドで固まっているので俺たちも違わず一緒にい
る。
「――では、行こうか」
ヒースクリフさんは無造作に黒曜石の扉に近づき右手をかける。周りで緊張に包まれた仲間の様子が俺にも伝わってくる。
「…勝ってあの家でスイーツパーティでもやろうぜ」
「……そうですね!」
「それで頑張らせるって……でもそれもいいわね」
「楽しみだね……絶対に生きて帰ろ」
全員で手を合わせてそれをそれぞれの力に変える。…大丈夫、俺たちは1人じゃないってことが十分にわかった。
「…戦闘開始!!!」
盾から長刀を抜いたヒースクリフさんが先陣を切ってボス部屋へと走っていく。
「よし…凛々の自由、いこうぜ!!!」
「えぇ!
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