第二話 斬獲のシュラネス
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その斬獲のシュラネスが、わざわざ出向くには理由があった。
『風をおびき寄せる餌として使えそうだ』
斬獲の闘気が兵士を吹き飛ばし、あいた道を前進し、彼は侵入者と対峙する。
エントランスには無数の兵士が倒れていた。
死んではいないが、気絶している状態だ。
その中央に、あの男がいた。
『なんだ、思ったより楽勝じゃねえか』
彼は再び走り出した。
一方、目を覚ましたアッシュは思わず辺りを見渡した。
明らかに状況がおかしい。
手紙が置かれている訳でもなく、その静寂が彼を焦らせる。
『ジェイル?いない、のか?』
もう一度周囲を探したが、やはりジェイルの姿はなかった。
『ジェイル、まさかあいつ!?』
この時、とてつもなく嫌な予感がアッシュを襲う。
今にも震えそうな様子で、とにかく彼は走り続けた。
恐らく彼も向かっているであろう、グランドクロスへ。
『なんでだジェイル、なんで一人で!!』
普通に走っては恐らく間に合わないと考えたアッシュは、全身から風を呼び起こし、
その力を利用して大きく跳躍した。
民家の屋根を、時には大樹の一本一本を飛び越えながら、まるで空を飛んでいるかのように
彼は先を進む。
『頼む、間に合ってくれ!』
ジェイルは螺旋階段をひたすら走り続けた。
大剣を右手に、アッシュより先に英雄になるために。
『いける!これなら!!』
まだ最上階ではないが、長い階段を抜けたその先には、巨大な扉があった。
それを押し開けると、そこは無人のフロア。
錆びた剣が何本も地に突き刺さっており、壁には乾いた血がおびただしく付着していた。
グランドクロス中階層・剣聖の間
『なんだ、ここは』
ジェイルは思わず立ち止まり、その光景に言葉を失う。
同時に、何者かの足音が前方から聴こえる。
そして、初めて聴くその声と言葉に、ジェイルは戦慄した。
『それは、俺が今まで殺してきた者たちの剣。もうじきそこに、貴様の剣が刺さるだろう』
『テメエは!?』
ジェイルの前方に立つ男。
それは闇のローブで全身を覆っており、顔さえも見えない。
右手には、自身の身長をも越えるほどの長い刀。
尋常じゃない殺気がジェイルを包み込む。
『俺に名乗らせるほどの価値が貴様にあるとは到底思えないな。それに―』
黒衣の剣士は言葉を続けて、
『俺は貴様に用がある訳ではない。風はまだ来ていないようだな』
風
その言葉を聞いたジェイルは、思わず剣を構えた。
『風ってあいつのことか!どいつもこいつも!?』
構えるジェイルの姿に黒衣の剣士は呆れたのか。
ため息をつき、こう言った。
『やめておけ。貴様では話にもな
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