第二話 斬獲のシュラネス
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能力があったら、といつも思ってた』
この瞬間、ジェイルの表情が豹変した。
右手を強く握り過ぎ、震えるほどだった。
今まで抑えていた感情が爆発したのだ。
『お前はいつも、俺の目標を簡単にクリアしやがる。そしてお前がごく自然にやっている
ことが、俺には出来ない!』
ジェイルは寝ているアッシュを通過し、一人グランドクロスへ向かう。
『ならば、今こそお前を出し抜き、俺が英雄になってやる。そうすれば俺の存在が
世界から認められるんだ』
アッシュに対する憎しみにも似た感情を放出させ、ジェイルは一人暗黒を突き進む。
英雄になるために。
そして、アッシュを超えるために。
グランドクロス最上階。
星裁の使徒は、一つの「接近」に気付いた。
だがそれは予想していたものとは違う。
長刀を持つ黒衣の男は静かに口を開く。
『ゼファリオン、これもお前が書いたシナリオか?』
ゼファリオンは何も言わない。
瞳を閉じ、ただ「その時」を待つのみ。
その姿を見たシュラネスは、フっ笑う。
『愚問、だったな』
その時だった。
一人の兵士が慌てて最上階の扉を開く。
ゼファリオンは未だ瞳を開けることはなく、そして振り返りもせず、冷静に口を開いた。
『何事かな?』
『申し上げます!ジェイル=クローヴァーと名乗る若い剣士がこちらへ侵入!我ら
第三騎士団が応戦しておりますが、ほとんど歯が立たない状況であります!!』
聖光のシルフィーナは嬉しそうな顔で、シュラネスの方に首を向ける。
『どうする?シュラ君やっちゃう?』
だがシュラネスはため息をつき、兵士にこう返す。
『ルージュはどうした』
斬獲から放たれた言葉、それは「ルージュ」。
それが何者なのかはまだ分かっていないが、兵士は首を左右に振り、その焦りの表情を
変えることなく口を開く。
『第三騎士団長ボルテック様、及び総隊長のルージュ様まで皆別任務の為外出しております!
』
それを聞いたシュラネスは、何も言わず静かに前進した。
同時にとてつもない殺気が闘気となってあたり一面に吹き荒れる。
ゼファリオンは初めて瞳を開け、前進するシュラネスの背中を見つめながら、こう言った。
『天地最強の剣、久しぶりに拝めるか』
シュラネスは兵士の前に立つ。
だが、兵士の様子がおかしい。
彼は震えながらこう言った。
『ま、まさか貴方が出られるのですか!?世界、いや天地最強の剣と呼ばれる
シュラネス様が!!』
シュラネス。
その次元を超えた剣の腕から付けられた二つ名は―
天地最強の剣
紋章騎士団で最も冷酷・かつ非情。
戦った相手は女、老人問わず絶命。
世界で未だ彼を越える剣士は存在しない
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