暁 〜小説投稿サイト〜
未来を見据える写輪の瞳
七話
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・・・・》 閲覧した任務報告書が誤りでなどなかったことが証明されてしまった。

 「そんな……そんなのありかよ!」

 男は膝をつき、拳を地面に叩きつけながらむせび泣く。堪えようとしても堪え切れない涙が、滝のようにして眼から流れ出す。

 「ちくしょう……俺が、俺が殺したんだ!」

 もし、この場に彼と彼女(・・) のことを知るものがいたらこういっただろう。それは違うと。だが、そんなことは本当は本人も分かっていた。ただ、彼女が死んでしまったことの悲しみと彼女を守ってくれなかった() へのやつあたり(いかり) がそれを覆い隠してしまった。

 「………………」

 男は立ち上がる。その身に確かな殺意を宿して。その時、一迅の風が周囲を撫でた。男の髪が風に舞う。今まで髪で隠れていた男の右目は、燃える様な赤色に輝いていた。





 「!?」

 「どうした?」

 場所は変わって中忍第一試験の会場近くの建物の一室でくつろいでいたカカシは何か例えようのない冷たい気配を感じ取った。忍として経験豊富な彼が今まで感じたことの無い様なそれに、思わず目を見開いてしまった。

 「なんでもない」

 「そうは見えないわよ?」

 「ああ、顔が真っ青だ」

 同僚である紅とアスマが心配の声を駆けてくれるが、カカシは適当に返事を返すだけで上の空だ。生真面目とはとても言えないカカシだが、今のような対応を普段見せることは無い。紅とアスマは本気で心配になってきたが、それでも上の空なカカシにどうすることもできなかった。





 第一次試験も無事に終わり、合格した数十組の下忍班の担当上忍は木の葉の演習場、別名”死の森”と呼ばれる場所へ移動していた。第二次試験の内容は開始前にバラバラに配布された二種類の巻物両方をそろえ、森の中心にある建物へ辿り着くというものだ。この二次試験は数日にかけて行われるものであり、担当上忍達は試験終了までここに缶詰めにされる。

 「ねえ、カカシの奴大丈夫かしら」

 「何とも言えん。だが、アイツがああも動揺した顔を見せるってのは少しばかり気になるな」

 アスマと紅。そしてカカシも、受け持つ下忍班が無事合格したため死の森中央の建物へとその身を移していた。今二人の話に上がっているのはやはり先ほどのカカシについてだ。今現在、当の本人はここにつくなり、割り振られた部屋へ引きこもってしまっている。

 「思えば、あの後も何だか様子がおかしかったな」

 あの後、部屋に籠もる前にアスマはカカシに声をかけていたのだが、その時のカカシの顔を思い出す。下忍達がいなくて暇だと言っていた時や、眼を見開いて何かに驚いていた時や、上の空だった時とも違う。あれはまるで……


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