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世界の礎
第四話 海その二

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「これからな」
「そうですか」
「私は他の宗教を否定しないが」
 それでもというのだ。
「否定する者はだ」
「否定しますか」
「他の宗教を否定する者をな、それにだ」
「それにといいますと」
「何故そうした排他的な教えになるか」
 他宗教を否定する様なというのだ。
「彼等が苦しいからだ」
「その為ですか」
「そうだ、あの国はどういった国だ」 
 ユダヤ教徒達の国はというのだ。
「一体」
「貧しいです」
 ヤキが答えた。
「非常に」
「そうだな」
「はい、土地は痩せていて」
 そうであってというのだ。
「荒野でして」
「畑も痩せているな」
「そして家畜もです」
「遊牧をしていても」
「痩せています」
「余裕はないな」
「我々と比べて遥かに」
 こう言うのだった。
「そうなっています」
「そうだな」
「それこそ少しの勝手な行動が」
 それがというのだ。
「一人のそれが」
「国全体に及ぶな」
「僅かな贅沢や遊興が」
 そういったものがというのだ、ヤキは義青に対してその国の詳しい事情を真剣な顔で話をしていった。
「命取りになります」
「余裕がない故にな」
「ですから教えも厳しく」 
 宗教のそれもというのだ。
「不寛容であるというのですね」
「そうだ」
 義青はその通りだと答えた。
「あの教えはな」
「そうなのですね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「ここは余裕もだ」
「与えますか」
「帝国に入ればな」 
 自分達の国にというのだ。
「そうなればな」
「我々のものをですね」
「与えるのだ」
 そうするというのだ。
「作物の種にな」
「技術をですね」
「渡してな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでだ」
「豊かにしますか」
「そうすればだ」
 豊かにすればというのだ。
「あの国も余裕が出来てな」
「楽に暮らせて」
「他宗教にもな」
「寛容になりますか」
「そうだ、何故不寛容かは余裕がないからだが」 
 今言った通りにというのだ。
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