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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第239話:二兎を得ても一兎を得られず
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俺は、奏さえいれば何時でも全開なんだよッ!」
愛する彼女の前では、少しでも見栄を張りたい。彼女にカッコいい自分を見て欲しいと言う、子供っぽいが男として譲れぬ信念の元彼は魔力を捻りだしインフィニティーとなったのである。
とは言え流石に無茶をしてインフィニティーとなったので、魔力の絶対量は正直不足していた。この姿は維持できても、これ以上の魔法は迂闊に使えない。已む無く彼は攻撃の殆どをアックスカリバーか蹴りによる物理攻撃に頼らざるを得なくなっていた。
「ほっ! はっ! おらっ!」
「ぬっ、くぅっ!」
それでもやはり生半可な攻撃を通さないアダマントストーンの鎧はそれだけで十分な武器となった。ワイズマンの反撃も颯人にヒットはするが、殆どダメージは通らず逆に弾かれて隙を見せてしまう。もし今ワイズマンに何らかの勝機があるとすれば、颯人の隙を伺い鎧の無い部分に刃を突き立てる事くらいだ。
そして恐ろしい事に、ワイズマンはそう言った針の穴に糸を通すような技術に長けていた。
「ハァァッ!」
颯人がワイズマンに剣を横薙ぎに振るう。すると、驚くべき事に狙って放った筈の斬撃は距離を見誤ったかのようにワイズマンの僅か数センチ先を空振る結果に終わってしまった。
「ッ!?」
確かに狙って、当てるつもりで放った筈の一撃。しかしワイズマンが何か回避行動を取る様子もなくその攻撃は文字通り空を切った。その現象に颯人は猛烈な違和感を感じていた。
――今のは……!――
颯人が驚愕している隙に、ワイズマンは足元に両手をつき全身のバネを利用して颯人に両足蹴りをお見舞いした。
「ぐぉっ!?」
蹴り飛ばされた颯人は、しかし鎧の防御力のお陰でさしたるダメージも無く済んだ。そのまま蹴り飛ばされた勢いそのままに着地し、呼吸を整えているとワイズマンは首周りのコリを解す様に肩を回しながら右手の指輪を交換した。
「ん、ん〜……! ふぅ。戯れに少し付き合ってやったが、そろそろお暇させてもらうよ。私も疲れたのでね」
「テメェ、逃げんのかッ!」
敢えて逃げると言うネガティブな言葉を投げかける事でワイズマンのプライドを刺激しようとする颯人だったが、彼の考えは突き抜けだったのかワイズマンは全く気にした様子もなく魔法を発動した。
「それでは諸君、また会おう」
〈テレポート、ナーウ〉
無情にも未来とメデューサ同様目の前で姿を消したワイズマン。
キャロルとハンスは取り戻せた。奏も帰ってきた。
しかし、未来だけは目の前でみすみす連れ去られたまま終わってしまった。
後味の悪い戦いの終わりに、颯人は足元を強く踏み奥歯を噛みしめるしか出来なかったのだった。
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