第3部
グリンラッド〜幽霊船
再びスーの里へ
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ョナスのことを紹介していないんだった。
私はジョナスの腕を引きながら、3人の前で紹介をした。
「ごめんごめん、こちら、スー族のジョナス。前に一緒に旅をしたことがあるんだ」
ついでにジョナスが里の警護のために私たち武器を向けたことを説明した。それで初めて、ルークの警戒心も解かれたようだ。
「ユウリたちの仲間、なら安心。里に入っていい」
誤解も解けたところで、私たちはようやく里の中へと入ることができた。こちらの事情をジョナスに説明すると、エドのいる場所まで案内してくれるというので、ついていくことに。
「おお、何事かと思えば、君たちだったか。今回は随分と大所帯だな」
私たちのことを聞きつけたのか、里の長であるアナックさんがどこからともなくやってきた。
「お久しぶりです、アナックさん」
年齢の割に逞しい体躯をしているアナックさんは、今まで狩りをしていたのか、背中には仕留めたウサギを数羽背負っている。その野性的な風貌に、3人は揃ってたじろいだ。
「ユウリたち、エドに会う。私今から、エドのところ案内する」
ジョナスがアナックさんに報告すると、アナックさんは深く頷いた。
「そうか。ならしっかり役目を果たせ。しかしジョナスよ。最近お前の帰りが遅いと、メイリが心配してたぞ」
「め、メイリが!?」
アナックさんの言葉に、ぎょっとするジョナス。ちなみにメイリとは、ジョナスの妻の名前である。以前ここに来たときに彼の家にお世話になったことがあるのだが、そのときにメイリと知り合った。驚いたのは、彼女は私より年下であり、さらに二人の間にはすでに子供がいたのである。
「皆、急いでついてくる! こっち!」
奥さんの名前が出た途端、急にジョナスの足が早くなった。他の皆は何事かと不思議そうにジョナスを見たが、メイリの性格を知っている私だけはやっぱりかと納得していた。
「なあ、ジョナスの奴、なんであんなに慌ててんだ?」
ナギが不思議そうに私に尋ねる。
「メイリは、ジョナスの奥さんなんだよ」
『奥さん!?』
いつの間にか隣にいたルークまでもが、ナギと同時に驚いた声を上げた。
「あー、なるほど。ジョナりんにしたら、早く奥さんのもとに帰りたいってワケだね☆」
さすがシーラ。恋愛に関する理解力が半端ない。てかジョナりんって何!?
「いや、のんびり話してる場合じゃね―だろ! あいつ先に行っちまうぞ!」
ナギの言う通り、ジョナスはすでにはるか遠くまで走っていってしまった。前に一度エドのところには行ったことがあるが、うろ覚えの記憶でジョナスの案内なしにたどり着ける自信はない。私たちは急いでジョナスのあとを追った。
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