第3部
グリンラッド〜幽霊船
再びスーの里へ
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ことに。ところが、ユウリは意外そうな顔で私たちを見回した。
「シーラはともかく、なんでお前らまでついてくるんだ?」
『え!?』
どうやらユウリはシーラと2人でスーの里まで行くつもりだったらしい。ユウリ以外の4人はなんとなく流れで全員行くのかと思っていたので、思わず面食らってしまった。
「別に杖を渡すくらい、こんな大人数で行くことはないだろ」
だが、ユウリの意見に賛同するものは一人もいなかった。
「えー、せっかくだから皆で行こうよ〜☆」
「そーだよ! スー族の里なんて、すげー気になるじゃんか! オレも行くぞ!!」
「私も久しぶりにジョナスたちに会いたい!」
「えーと……、ミオが行くなら僕も!」
「……」
というわけで、結局全員でスーの里に行くことになった。道中ずっとユウリが不機嫌な顔をしていた気がしたが、私はあえて見て見ぬふりをすることにした。
「うわーっ!! 何あれ、不思議な形の建物!! あんな造りの家で本当に生活できるの!?」
「おい見ろよシーラ!! あそこにいる人たち、みんな鳥の羽みたいなのつけてるぜ!!」
スーの里の入り口から見える独特な建物や里の人の姿を目の当たりにして、騒ぎ立てているシーラとナギ。ルークも初めてサマンオサ以外の場所に来たからか、興味津々であちこち見渡している。
だがそんな中、ルーラの呪文で私達5人をスーの里まで移動させたユウリは、ぐったりした様子で里の入り口付近の木陰に座り込んでいた。
「大丈夫? ユウリ」
心配になった私が声をかけるも、彼は無言で俯いたまま。ルーラの呪文は人数や移動距離に比例して魔力の消費も高くなるそうなので、一度に5人を運んだユウリの魔力は相当消耗したのだろう。
「ごめんね、ユウリの呪文に頼っちゃって……。やっぱりキメラの翼、買っておけばよかったね」
ついユウリの呪文に甘えてしまっていたが、こういうときこそアイテムを使うべきなのだと私は反省した。
「……ふん。別にお前に心配されるほど俺はヤワじゃない」
そう言うとユウリは、すっくと立ち上がった。どう見ても無理してる気がするが、これ以上は下手に口を出さないほうがいいだろう。
「!! あれは……」
ユウリが里の入り口に目を向ける。じっと目を凝らすと、里の奥から一人の男性が猛然と駆け出してきた。あの人は……!
「お前たち、余所者!! この里入る、まず私と勝負する!!」
言うやいなや、その男性は里の入り口で騒いでいたナギに近づくと、彼の足元に向けて手にしていた斧を振り下ろした。
「なっ、なんだ!?」
ドゴッ、と言う音とともに、ナギの足元スレスレのところで斧が地面を砕いた。男性は地面に
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