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夢幻水滸伝
第三百七十八話 魔術と信仰その十二

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「その絆は大事にせんとあかんな」
「左様ですね」
 ガブリエラも確かにと頷いた。
「人と人の縁は」
「どうなってもな」
「若しです」
 ガブリエラも酒を飲んでいる、そうしながら応えた。
「自分の都合で縁を一方的に切るなら」
「それは人として間違ってる」
「そうですよね」
「簡単に切るもんやないわ」
 強い声で言い切った。
「人の縁は」
「全くですね」
「簡単に切る、人を簡単に切り捨てる奴はな」
 ピエトリは実に忌々し気に話した。
「おるやろ、うちの学校にも」
「八条学園にも」
「そや、陸上部のあいつ等や」
「あの二人ですね」
「自分が告白する様に言うて」
「遠井希望さんに」
「それで振られてな」
 その彼がというのだ。
「アホな連中にあいつと付き合うなとか言われてな」
「あっさり切り捨てましたね」
「自分が言うたのにな」
 それでもというのだ。
「そんなことしたんや」
「信用出来ないですね」
「そんなことする連中はな」
「そやからですね」
「このことが知れ渡ってな」
「嫌われていますね」
「そや」
 そうだというのだ。
「昨日まで友達とか言うてた奴を自分の都合だけで平気で切り捨てる」
「そんな人達を誰が信用するか」
「そして好きになるか」
「その行いを見て」
「そやからや」
「あの二人は嫌われていますね」
「誰もまともに付き合ってへんわ」
 そうなっているというのだ。
「性根が腐ってるさかいな」
「そのことがわかっているので」
「それでや」 
「性格と行いは大事ですね」
「若しこんな奴好きになるんやったら」
 ピエトリは心から軽蔑を込めて言った。
「もう自分を見つめ直した方がええ」
「その方がええですね」
「そや、自分の人間観をな」
「それをですね」
「まともやない奴を好きな奴がまともか」
 ピエトリはガブリエラに問う様に言った、その問いは実は自分自身に対して行ったものでもあったりする。
「果たして」
「ちゃいますね」
「そや」
 まさにというのだ。
「カルト教団の教祖を偉大とか言うたらな」
「アホですね」
「そんなアホが偉大な思想家か」
「絶対にちゃいます」
 ガブリエラは即座に否定した。
「間違っても」
「そや、ほんまな」
「そんな思想家はいりませんね」
「絶対にな」 
 ピエトリは断言した。
「そんな奴の言うことは一切聞かんでええ」
「どうしようもないアホなんで」
「それでや」
 その為にというのだ。
「碌でもない奴を好きな奴はな」
「まず自分自身を振り返る」
「そんな奴はまず振り返らんが」 
 そのことはわかっているという顔で述べた。
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