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金木犀の許嫁
第五十話 汗水流してその九

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「そうです、食後すぐに激しい運動をすることはです」
「しない方がいいですね」
「はい」
 白華にその通りだと話した。
「やはり」
「そうですよね」
「確かに食後の鍛錬もいいですが」
「それでもですね」
「水泳やランニングの様な激しい運動は」
 そういったものはというと。
「三十分は時間を置いて」
「そうしてですね」
「そしてです」 
 そのうえでというのだ。
「行うことです」
「そうですね」
「これが素振り位ならいいです」
「剣道や野球の」
「山縣有朋さんもそうでした」
 明治の元勲の一人であり絶大な権勢を誇った人物である、ただ自身はあくまで自分のことを一介の武辺と言っていた。
「食後必ず鍛錬をしていました」
「そうだったんですか」
「毎日乾布摩擦を行い」
 そうしてというのだ。
「槍の鍛錬を欠かしていませんでした」
「それで食後ですか」
「常にです」
 まさにというのだ。
「三食後欠かさず」
「行っていて」
「健康でした」
「長生きされましたね」
「色々言われている人ですが」
 汚職に謀略とだ、そうしたことにより長い間評判が悪かった。
「私生活は禁欲的でした」
「鍛錬を欠かさず」
「食事も節制していまして」
 かなりの粗食だったと言われている。
「住んでいるお家やお庭はいいですが」
「質素だったんですね」
「汚職や権勢や陰謀のお話は絶えませんでしたが」
 これは生前からのことだ。
「ご自身はです」
「質素だったんですね」
「汚職はしても政治資金で」
 そちらに回していたのだ。
「贅沢はしなかったです」
「割り切った人だったんですね」
「そして常にです」
 それこそ人生の最後までだ。
「食後の槍の鍛錬は欠かしませんでした」
「そうだったんですね」
「ですがそはあくまで槍の鍛錬で」
 そうであってというのだ。
「水泳やランニングはかなり激しい運動なので」
「食後すぐはですね」
「すべきでないです」
「そうですか」
「ですから今はです」
「時間を置くことですね」
「遊びまして」
 そうしてというのだ。
「時間を過ごしましょう」
「わかりました」
 白華は確かな顔と声で頷いた、そしてだった。
 五人で実際に三十分程遊んだ、そのうえで。
 真昼も入れてまた四人で一時間程泳いだ、平泳ぎでそうしたがずっと浮き輪に浮かんで見ていた夜空は。
 泳ぎ終わった佐京にだ、こう言った。
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