第一章 グレンダン編
シキという武芸者
知り合いは選べない【微リメイク】
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リーリンもシキが買い物に出かけた後、足りない調味料を買いに出かけていたので、台所には誰もいなかったらしい。その間にクララはあの暗黒物質を作ったらしい。
クララへの説教は後回しにして、シキは大至急料理を作っていた。
リーリンも補助に回っていたがさすがにまだ九歳である子供の体力では大量の調理には耐え切れなかったのか、今はリビングのソファに眠っていた。
「じ、時間がない!!」
時計を見るともうすぐデルクたちが帰ってくる時間だった。ほとんどの料理はテーブルの上に配膳している、後は最後の料理を作るだけだった。
その時だ、玄関の扉が開いて子供たちの話し声が聞こえてきたのは。シキは頬に汗を垂らしながら仕上げの作業に入った。
クララの料理を食べて、人生最大のダメージを受けたレイフォンは気力を振り絞って立ち上がった。今日は大事な家族が人生最高の喜びを得る日だと思っているからだ。
汚染獣との戦い以上に身体に剄を流し、なんとか玄関までたどり着く。そして扉を開けると通りの向こう側にデルクや子供達、そして巨漢に抱えられたルシャの姿が見えた。
その巨漢こそルシャの結婚相手である、天剣授受者のルイメイ。一回だけ戦場で見たことがあるから見間違いはないとレイフォンは思った。
身体がガタガタと震える、腹は苦しげに鳴り、今でもトイレに駆け込みたい衝動に駆られる。それをレイフォンは精神力で封じ込める。
「る、ルシャ姉さん! おめでとう、ご飯できてるよ」
「あぁ、ありがとレイフォン。ほら、ルイ、この子がレイフォン、滅茶苦茶強いんだよ」
ルシャを抱えながら、少しだけ頬が赤くなっているルイメイはレイフォンを一別すると、ほぉと感心したように声を出す。レイフォンの体から出ている剄の量の多さに驚いているのだ。
「いい剄を持ってんな、坊主。将来が楽しみだ」
「あ、ありがとうございま……ッ」
足がふらつき、倒れそうになるがなんとか踏ん張る。
その様子を訝しげに見るルイメイやデルクだったがレイフォンは愛想笑いで誤魔化す。そして扉を開けて、子供達やルイメイを案内する。
その時、台所からシキがエプロン姿で出てきた。そしてルイメイを睨んだ後、抱きかかえられているルシャの姿を見て、口笛を吹く。
「お姫様抱っこだっけ? 幸せそうじゃん、ルシャ姉」
「あっ、る、ルイ! 下ろせ! 今すぐに下ろせ!」
指摘されると恥ずかしかったのか、ルシャは顔を真っ赤にしながら手足をバタバタとさせるがルイメイは逆にニヤリと笑いながら、さらに強く抱きかかえた。
周りの子供たちもシキの真似をして、ヒューヒューと吹けない口笛をしながら二人を冷やかした。恥ずかしがりながらルシャもルイメイも笑顔だった。
「ちょっと早いけど……ウェディングケーキ
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