第一章 グレンダン編
シキという武芸者
知り合いは選べない【微リメイク】
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リスさんだって最年少天剣授受者の記録持ってるでしょ」
拳を握りながらシキは構える。錬金鋼がないという状況だが、最悪でも片足でも奪う覚悟をする。
しかし予想とは違いサヴァリスは笑いながら、臨戦態勢を解く。シキは訝しげにサヴァリスを見る。
「だけど、本気じゃない君とやっても楽しくはない。確か、今日は結婚式なんだろ? 無粋な真似はしないさ」
「いつぞや、クララとの訓練中に割って入ってきてこてんぱんにしたよね? あなた」
やれやれといった風に肩をすくめるサヴァリス、それを見て渋々だが構えを解くシキ。
戦わないとしたのなら一刻も早くここから立ち去りたかった。サヴァリスといると、なぜか嫌な感情しか出てこないのだ。
急いで通り過ぎようとするとサヴァリスは手の平を打ちながら、シキに話しかけた。
「あぁ、そうだ、シキ」
「なんですか? 姉さんが待ってるんだ」
「今度の天剣授受者選定式に出てみないか? 君は一応参加資格を持っているんだしね」
眉毛を曲げてシキは、サヴァリスを見る。魂胆はわかっていた。
「どーせ、天剣持った俺と戦いたい。そんなところでしょ?」
「それもあるけどさ……君は天剣授受者選定式に出る敵と戦いたくないのかい?」
そうサヴァリスに言われた時、シキは興奮したことを自覚して小さく舌打ちをする。まるで自分は戦闘が大好きな戦闘狂のように感じてしまったからだ。
シキはそれを心の奥底にしまいながら冷静に言葉を口にする。
「俺は姉さん達を守りたいだけです」
「そうかい? 君と僕は――――似ているように思えたからね」
瞬間、シキの身体がブレた。
サヴァリスは心底嬉しそうな顔をして構える。そして二人は同じ技をまったく同じタイミングで繰り出した。
外力系衝剄の変化、剛力徹破・咬牙。
天剣級の二つの衝剄と徹し剄がぶつかり合い、地面がめくり上がる。幸い、人通りがなかったから被害はじめんだけで済んだが、人がいた時など想像したくはない。
普段のシキでは考えられないほど冷静を失っていた。サヴァリスは本当に楽しそうに笑っていた。
「――冗談にしても笑えませんよ?」
「それは済まなかった。だけど。また実力を上げたね。今のは少々危なかった」
よく見ると二人の手は血だらけになっていた。シキは不思議と痛みを感じずにいた。
「まぁいいさ、出る出ないは君の勝手さ。でもいいのかい? 本当に」
出たくないと言ったら嘘になる。おそらく、今回の天剣授受者選定式では空位である最後の天剣の所有者が出てくる。過去の大会で女王であるアルシェイラは都市内外問わずに強いものを天剣として取ってきた。
噂を聞きつけて強い武芸者が来るかもしれない。そうなったとき、自分が見てられるのか? そうシキ
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