第一章 グレンダン編
シキという武芸者
知り合いは選べない【微リメイク】
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ンスマイア。シキにアルバイトを依頼している一つ年下の少女である。
王家の人間であり、本来ならばシキはそれ相応の態度を彼女に取らなければいけないはずなのだが初対面が問題だった。三年前の初対面はこうである。
『あなた強そうですね、戦ってください』
『は?』
その後、嬉々として襲ってきたクララをシキは戸惑いながらもコテンパンにした。今、シキが過去に戻れるなら、過去の自分の行いを修正したい。当時、そんな身分だと知っていたらそうしなかった。
それからというものシノーラもそうだが、なぜかコテンパンにしたはずのクララにも付き纏わることになった。
随分前にレイフォンとも戦わせて興味をそらそうとしたのだが……。
『シキ様に殴られた時、あぁ、この人なら強くしてくれると確信したんです。ですからレイフォンさんではなくシキ様がいいんです』
シキが誤って、拳が出てクララを吹き飛ばしたのは仕方ないことだろう。殴られて確信とか、なんて悪夢? そうシキは思いながら、クララの誘いを断ってきたのだが彼女の祖父に訓練のアルバイトを頼み込まれた。
一度は断った。だが、直後提示された金額に釣られて首を縦に振ったのが運の尽き、一週間に一回、クララとの訓練をすることになったのがつい最近の出来事である。
「むぅ、女性にそんなこと言うなんて失礼ですよ、シキ様」
「胸膨らめてから言えよ、ガキ」
シキはぶっきらぼうにそう言うと、クララは頬ふくらませながら断固抗議する体制に入った。この時期の女の子は背伸びがしたい年頃なのだ。
「ふん、シキ様だって男らしくないくせに」
「なん……だと?」
轟ッ! とシキの体から剄が溢れ出る。膨大な剄がクララを威圧するが、怖気づくどころか嬉々として受け入れていた。
「最っ高です! あぁ、今すぐやりましょう! すぐにやりましょう! ハリーハリーハリー!!」
「あぁ、もうなんでこんなと戦ったんだろ」
シキは再度頭を抱えた。黙っていれば一級の可愛らしい少女なのだ、口を開けば残念なことに戦いの事しか言わないので、将来大丈夫かと心配している。
とりあえず、クララをあしらいながら部屋から出てリビングに行くとリーリンがあたふたとしていた。何度か往復するとシキに気づいたのか申し訳ないように顔を伏せながら、シキに言う。
「シキ、ごめん。食材足りないの」
「……ゑ?」
「大変ですね。あっ、リーリンさん手伝いますよ」
リーリンの言葉に固まるシキ、クララはマイペースにリーリンの手伝いを申し出ていた。リーリンはクララの正体を知らないのか、適当にボウルを渡して手伝わせていた。
「ね、姉さんや。確か、俺とレイフォンが大量の食材を買ったと思うんだが?」
結婚式の前日に大量の食材を買い込んだこと
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