第一章 グレンダン編
シキという武芸者
知り合いは選べない【微リメイク】
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」
錬金鋼を持って、暗い顔をしながら不気味に笑うシキ。ぶつぶつとルイメイへの文句を呟いていた。シキには男女の感情などまだ理解できないし、ルイメイには妻がいたはずがあるのだからその人とはどうなったのかと一言文句を言わなければ気がすまなかった。
「さて、私はこれから親父さんとルイに会ってから、ここに戻ってくるけど……大体三時間くらいで戻ってこられるはず」
シキは渋々とだが頷いた。ルシャは頭を撫でながら手のかかる弟に笑いかけ、部屋から出ていった。
直後、孤児院の子供たちがキャーキャー言いながらルシャのドレスに興奮した声が聞こえた。シキはポスンと床に座りながら、頬膨らませる。目には若干だが水滴がついていた。
「ルシャ姉のバカ、ルイメイさんのバカ……」
目の水滴に気づいたのか、シキは顔を膝にうずめながらそれを隠そうとする。
だが水滴の量はどんどん増え、嗚咽が止まらなくなってしまった。いくら強くても、シキは九歳の子供、大好きな姉がいなくなることに耐えられなかったのだ。幼い兄弟たちやリーリンやレイフォンの前で泣きたくないから、ここで泣く。
「ばか、バカァ! 幸せに、ならなきゃ、許さな、いぞ」
泣き声で途切れ途切れになっているが、シキは静かに二人を祝福した。
が、そこで誰かが部屋に近づくのが聞こえた。知らず知らずの内に内力系活剄を使っていたのか、シキは気がつくと全身に剄が回っていることに気づいた。すぐに顔を拭いて、わざと化粧品を落とす。化粧品が落ちて涙目になっていたという設定だ、これで完璧と思った瞬間、その人物は部屋に入ってきた。
シキはそれを誰かと認識した瞬間、思いっきりむせた。
「修行してください! シキ様!」
「なんでお前がいるの!? クララ!!」
シキがクララと呼んだ少女は、孤児にしては来ている物が上等すぎた。
子供らしい半ズボンを穿き、真っ白な半袖シャツを着ているが明らかに材質が先ほどのウェディングドレスの材質と同様か、それ以上だった。髪の毛は女の子らしく後ろで括ってポニーテール。だが髪の毛の色が奇妙だった。全体的な色合いはシキと同じ黒なんのだが、その中に白い髪の毛が混ざっていた。
シキも不思議に思っているが、これが彼女の自毛であり染めたりしていない。もっともこの歳で髪を染めるほど、彼女は頭がお花畑ではないことを明記しておく。
「シキ様、先ほどドレスを着た女性がいたのですが……あれ? シキ様どうしたんですか? 頭なんて抑えて」
「お前のせいだよ、この万年戦闘狂い娘」
頭痛に似た鈍い痛みを感じたシキは頭を抑える。目の前にいる彼女が自分の都市では上流階級、それも支配層の人間とは思いたくはないのだ。
彼女はグレンダン三王家の1つ、ロンスマイア家が長女、クラリーベル・ロ
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