第一章 グレンダン編
シキという武芸者
知り合いは選べない【微リメイク】
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荒廃しきった世界、レギオスという箱庭の中で生きる人類。なぜ彼らが地上から移動する都市へと住処を変えたのか、それは汚染物質と呼ばれる。現在もなお世界を包み込んでいる害ある物質である。
だが、汚染物質だけであるなら人々はレギオスを動かす必要はない。だが、人々はそうしなければ生きられないからだ。
この世界を人間に変わって収めた、現在の地上の覇者……汚染獣。
彼ら以外の生物は汚染物質に耐え切ることができない。汚染獣は汚染物質に耐えるだけでなくそれを栄養の糧とする、まさに常識を超えた存在であった。しかし彼らは汚染物質だけでなく肉も食べる。地上にはすでに汚染獣以外は死滅している。では肉とはなんなのか? 答えは簡単だ、人間である。
そして数多くの都市が汚染獣の強靭な肉体によって滅ぼされ、食い尽くしされた。
それもそのはずだ、三十分で肺が腐り死んでしまう人間と汚染物質を栄養とする汚染獣、どちらが強いと問われれば汚染獣としか言い様がない。
だが、過酷な世界に適応するように不思議な力に目覚める人々がいた。それが武芸者である。剄と呼ばれるエネルギーを持った彼らを天の恵みと讃えた人々はその力を崇拝するまでに至った。
汚染獣と武芸者、その二つは殺し殺し合う、どちらかが滅ぶか、世界が滅ぶその日まで。
シキとレイフォン、二人の才能を見出し、そして戦う術を教えたのは孤児院の責任者であり小さな道場を開いている、熟練の武芸者デルク・サイハーデンであった。
二人の才能は凄まじい、いや超越と言っても過言でないほど異常であった。デルクの技術を吸収し、反復し、昇華させる。凄まじい成長スピードでデルクを抜くのはそんなに遠い未来ではなかった。
それに膨大な剄が二人には備わっていた。剄の総量が多いというのはそれだけ長く戦えるということだ。武芸者との戦いでは技量が拮抗していても、剄の量で勝負が決まることがよくあるものだ。
デルクは純粋に喜んだ。なぜなら自分の代で終わると思っていたサイハーデン流を継承させても問題ない人材が同時に二人も現れたのだ。それに息子の成長を喜ばない父親がいるはずがない。
だが、同時に負い目も感じていないわけではなかった。
幼い彼らが強くなった理由はその才能だけではなく、自分のうまいとは言えない孤児院の経営を思ってのことだとわかっているからだ。
デルクはそれを気に病んで、二人のどちらかを後継者にしようとは思えなかった。自分のせいで息子たちが傷つき、それでも孤児院のために金を稼いでくる。その上、自分の思いを押し付けるようなことは出来ない、そうデルクは思っていた。
孤児院の隣にある小さな道場にポツンと置かれている鋼鉄錬金鋼、代々サイハーデン流を継承する際に渡す錬金鋼である。
それを渡すことができる日が来るのか、デルクはそう
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