第一章
[2]次話
敵が怖過ぎて
その特撮番組を観てだ、小学五年のそのクラスでは誰もが言っていた。
「敵怖くないか?」
「怖過ぎるだろ」
「物凄く悪いこと企んで」
「それやって」
「恰好も気持ち悪いし」
「怖いよな」
「あんなのずっと出てくるのかな」
こう話した、そしてだった。
その番組を観るとだ、常にだった。
「うわ、また出た」
「また悪いことしてる」
「汚いことばかり考えて」
「何か煽って」
「何でこんなに悪いんだ」
「怖いわ」
男女共だった、その悪役を心底怖がる様になった。ある子はというと。
「観ないの?」
「観ないよ」
家で母親に聞かれてこう返した。
「あの番組は」
「前の番組大好きだったでしょ」
「今のは嫌なんだよ」
こう言うのだった。
「兎に角」
「あの悪役が?」
「そう、怖いんだよ」
母に嫌そうに答えた。
「観ていたら」
「確かにね」
母も否定せずに帰した。
「かなり怖いわね」
「お母さんもそう思うよね」
「ええ、普通の宇宙人や怪獣と違ってね」
「異次元人とか言うけれど」
「おかしな場所であれこれお話してね」
「悪企みしてだよ」
それでとういうのだ。
「実際に悪いことばかりして」
「ただ暴れたり地球を征服するんじゃなくてね」
「ヒーローを追い詰めて」
そうしてというのだ。
「苦しめて喜んでいるから」
「嫌なのね」
「怖いよ、しかも気持ち悪いから」
だからだというのだ。
「観ないよ」
「そうなのね」
「他の番組観るよ」
実際にだった。
この子は別の番組を観た、そして他の子達もだった。
「あいつ等嫌だよ」
「観ていて凄く怖いから観たくない」
「気持ち悪い」
「本当にいたら最悪」
「早く死んで欲しい」
「いなくなって欲しい」
こう言ってだった、その番組を観なくなった。そうしてだった。
視聴率が落ちた、この事態に番組のプロデュ―サーである冨野博光丸眼鏡をかけた面長で額の広い小柄な彼はスタッフ達に言った。
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