第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第2話 タバサと言う名の少女
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った。そして、更に続けて、
「彼女の非礼はわたしが謝る。だから、許してやって欲しい」
これまでほとんど話す事の無かった彼女からの謝罪の言葉が発せられた。
……気付かれたか。ただ、俺が怒っている事を簡単に気付いても不思議でも何でも無い状態なのは確かなのですが。
何故ならば、彼女。タバサやコルベール先生。そして他の式神達に対する態度と、あの赤毛の少女に対する俺の態度に差が有り過ぎましたから。
しかし……。
「それは、言う相手が違うと思うんやけどな。彼女……キュルケ嬢の非礼な態度を俺が怒っているとして、それを、タバサさんが謝るのでは、彼女の態度が以後も変わる事はないと思うぞ。
おそらく、彼女は、俺が何に対して怒っているのかすら判っていないからな」
但し、それを俺が直接態度で表現したり、口にしたりして仕舞うと角が立ちます。そして、タバサに迷惑が掛かる事と成るでしょう。ですから、俺と同じ使い魔の立場の、あの火トカゲに罰を与えた訳なんですよね。
つまり、本来ならば俺に対して彼女、タバサが謝るべきでは無く、キュルケに対して自己紹介を促すような言葉を掛けるのが正しい選択肢だったと言う事だと思うのですが……。
もっとも、時、既に遅し、でしたけどね。
「確かに、人種差別的なモンは何処にでも有る。まして、ここにはここの身分制度と言うモンが有るやろう。
せやけど、俺は客人や。今のトコロはここの身分制度の外に位置する存在。ならば、客人に対する扱いは、客人に相応しい扱いと言うモンが有ると思うんやけどな」
それに、言いたくはないけど、俺は拉致被害者。一応、タバサの立場を考えて使い魔契約を結んだけど、それにしたって、この部分に関しては俺の好意以上の意味はない。
あの場で、自分の権利を強硬に主張して、あの場にいた全員に責任を取らせる選択肢さえ、俺には存在していたのですから。
おっと、この思考は少し問題が有りますか。俺が、自ら判断して、この少女の使い魔になったのは事実です。こんな考え方をしている事をこの生真面目そうな少女に気付かれたら、この娘を少し傷つけて仕舞う事に成ります。
悪いのはこの娘ではナシに、ここの使い魔召喚魔法のシステムの方。そして、こんな魔法を進級試験に使用する魔法学院のシステムの方。
しかし。其の君を知らざれば其の左右を見よ。其の子を知らざれば其の友を視よ。と言う言葉が有ったと思いますけど、このふたり。タバサとキュルケには、それが当てはまるのでしょうかね。
「まぁ、今回は許しても良いかな。それに、自らが非礼な態度で臨んでいる事を自らが知らない限り、意味は無いとも思うし」
それに、このタバサと名乗った少女が、意外と人間に対する観察眼を持っている
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