第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第2話 タバサと言う名の少女
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、ルシファーに従ってヘブライの神と戦った創世記戦争の兵站部門を取り仕切った存在。普通に流通している物で、彼女に調達出来ない物はない、と言う存在です。
但し、そんな詳しい説明を、タバサ以外の人間に聞かせる訳にも行きませんから。
一応、かなり省略した形では有るけれども、そうタバサに説明した後に、ハルファスの方に向き直る俺。
そうして、
「ハルファス。すまんけど、日本刀を用意して貰えるかな。銘は無銘で充分やから」
そう依頼する。それに、戦闘に使用する物でもないですから、銘のある有名な代物を準備して貰う理由もないでしょう。
まして、この世界の科学のレベルによったら、今日の内に色々なモノを調達して来て貰わないとマズイ事になる可能性もゼロでは有りません。ですから、それまでの間は、出来るだけ霊力は温存して置きたいのですが。
「無銘の刀で良いのだな、シノブくん」
俺に一振りの日本刀を渡しながら、確認するかのようにそう聞いて来るハルファス。
当然、こんな物で、時代劇宜しく、相手をバッタバッタと斬り倒して行く心算などないのでこの無銘の日本刀で充分。
そう思い首肯いて答える俺。
ハルファスから受け取った黒塗りの鞘を抜き放ち、優美な波紋を浮かべる刀身を見つめる俺。機能性と、そして、芸術性を併せ持った武士の魂が、春の日の陽光を反射して、その煌めきに少し目を細めた。
鞘から抜き放たれた刀身は大体、七十センチぐらいと言うトコロですか。ハルファスに調達を頼んだ刀ですから、無銘ですが、それなりに実用に耐える代物と言うトコロなのでしょうね。
「これが日本刀と言う武器や。少し特殊な工程で作られる剣やからこの国には無いかも知れないけど、キレ味なら他のどんな剣よりも優れているはずやで」
一度、タバサに指し示すように、抜き身の日本刀を見せた後、再び鞘に納めてから、その日本刀をタバサに渡す俺。
もっとも、これは無銘ですから、日本刀の中で言うとそれなりのキレ味に成るとは思います。
多分、ですけどね。
「貴方は、何故、この武器を持っていない状態で召喚されたの?」
日本刀に興味が有る、と言うよりは、突如、無から有を生じさせたハルファスの能力の方に興味を持ったようですが、その部分については何もたずねて来る事はなく、タバサはそう聞いて来た。尚、その言葉、及び発している雰囲気などから、どうも、この娘は新しい知識を得る事に対する欲求は、かなり旺盛なタイプの人間のように思えますね。
それに、自らの使い魔の能力を知る上では、この質問も必要な事でも有りますか。
しかし、そうかと言って、
そら、アンタ、現代日本で本身を腰に差して自転車を走らせていたら、お巡りさんに捕まって仕舞いますがな。
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