第一章
[2]次話
犬は幽霊に強い
最近家の近所の空き家に幽霊が出ると言われている、そしてこんな噂が出ていた。
「あそこで首吊った奴がいる?」
「らしいんだよ」
ふわりの家族である国咲家の息子洋介は肉体労働をしている父の文太に家でビールを飲みつつ話した。
「そんな噂が出ているんだよ」
「噂だろ」
文太は顔を顰めさせて言った。
「それは」
「あくまでな」
「噂なんてな」
文太は顔を顰めさせて言った。
「実際はどうかわからないぞ」
「そうだよな」
「ああ、大体誰が確かめたんだ」
「空き家の中で首吊ったとかか」
「そこに住んでいた人が自殺したならな」
それならというのだ。
「わかるけれどな」
「空き家でか」
「空き家に入る奴なんてな」
「廃墟マニアでも無法者だな」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「そうはいないぞ」
「無法者は少ないよな」
「今の日本だとな、廃墟マニア自体限られていてな」
「法律守らない奴はもっとか」
「ああ、それで首吊った奴がいたらな」
一致はさらに言った。
「見付かったら警察来るだろ」
「絶対にな」
「あの空き家に警察が入ったって話もないしな」
「じゃあ嘘か」
「少なくとも首吊ったなんて話はな」
それはというのだ。
「そうだな」
「嘘か」
「そうだろうな」
こう言うのだった。
「噂じゃなくてな」
「そうなんだな」
「ああ、ただあの空き家の辺りに出るって話はあるな」
冷静にだ、文太は日本酒を飲みつつ話した。
「前からな」
「そういえば近くにお墓あるな」
「お墓に出るのは定番だろ」
「魂が眠る場所だからな」
「それでだ」
だからだというのだ。
「あそこにはな」
「出るんだな」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「場所が違うだけでな」
「出るってのは間違いじゃないんだな」
「あの辺りはな。昔から見たって人は多いな」
「それが空き家になったんだな」
「そうだろうな」
「それでか。けれどな」
洋介はここで父に言った。
「俺は見たことないな」
「お前あそこよく通るか」
「ふわりの散歩でな」
「ふわりが一緒だとな」
父はそれならと答えた。
「出ないな」
「何でだよ」
「当たり前だ、犬だぞ」
だからだというのだ。
「犬連れて出る筈ないだろ」
「何で出ないんだよ」
「幽霊は犬が嫌いなんだよ」
父は酒を飲みつつ話した。
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