42:人の本質
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込む余地なぞ、毛ほども無い。
……そう。人間なんて。
ボクは、この子を抱き締めながら……感じていた。
――心の『奥底』が、この子達によって再び優しく温められていく反面……
――心の『表面』は、今まで以上に凍り付いていくのを、感じていた。
まるで、死んだ体から体温が抜けていくように。完全に、冷め切っていく。
ボクはやっと理解した。
人が、どんな生物なのかを。
やはり、人は愚かで汚らわしく、そして憎むべき生き物だった。
以前までのボクは、両親のような人も居ることを知っているから、それを必死に否定していた。
だが……理解した。
そういった人達が異端なのではない。
お母さんやお父さん。……もしかすれば、あのマーブルと名乗った女性も。……そしてボク。
ボクらのような人間こそが、この世界の異端者だったのだ。
この世は、ボクら以外のような冷たい人間で当たり前の世界だったのだ。
ボクの長年の悩みであった、人間の友達が一人も出来なかったのも、それであっという間に説明が付く。
……ボクは、なんて簡単な真理に気付かなかったのだろうか。
理解した後には、冷静な判断が頭に取り戻っていく。
人など……もう信じない。
人に、もう関わるものか。
人の世界など、もう、どうでもいい。
ボクには……この子達さえいればいい。
ボクはまた強く、この子を抱き締めて互いを信じ、委ねあう。
……どこまでも冷めた、憎しみを湛えた目で、プレイヤー共のいる村の方向を睨みながら。
そしてボクは、この子をボクの最後の心の拠り所にすることを決めた。
例えどのような手を使おうとも……ボクはこの子だけを守り抜くと決めた。
――こうして、使い魔を心底愛しながらも、人を心の底から憎むボクが……
――《死神》が、生まれた。
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