暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
42:人の本質
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
など。

「……人なんてッ、みんな……――消えてしまえェェエエッッ!!」

 振り向きざまにボクは絶叫し、大鎌を背後の気配へと振り下した。

 ―――――。

「――――……………」

 ボクは……その振り下ろす大鎌を、途中で止めていた。
 ボクの背後には、名をマーブルと言っていた女は立ってはいなかった。
 そもそも、そこにいたのは人間ではなかった。
 今、ボクの目の前には……

「…………ル……ルビー……?」

 ルビーが、四本足で立っていた。
 ボクよりも小さな体で、ボクを不思議そうに見上げている。

「なん、で――」

 ボクはここまで言い掛けて、すぐに首を横に振った。
 ……この子が、ルビーであるはずが無い。
 ルビーは、確かにボクの目の前で殺されたのだから。
 その心は、形見になってしまったのだから。
 そしてその形見は、まだボクが持っているのだから。
 なにより、よくよく見ればその子の目は、ルビーの目ではなかった。
 色こそルビーと変わらない、その名の通りの透き通る深紅だが、ボクを見つめるその目は無垢な印象を受ける、まん丸の瞳だったのだ。

「キミは……」

 ボクはそのユニコーンと視線を交わす。
 この子は……ルビーとは違うミストユニコーンなのだろう。しかも、恐らくは……この世界で最後の生き残りの。
 そして不思議なのは、その子はボクと見つめあったまま、逃げようともしない。
 ボクは直感する。……長年、あらゆる動物と目を合わせて触れ合ってきたから、分かる。
 この子は……今まで人を見たことが無い目をしていた。
 何も知らない仔馬らしく、やや好奇そうにボクを見ては、不思議そうに小首を傾げている。
 非好戦的モンスターであるのに、脱兎の如く逃げ出さないのはやや疑問ではあるが――そういう性格、なのだろうか――……プレイヤーに攻撃しないというだけでも、突き詰めれば『非好戦的』という言葉に準しているので、システム的にも問題は無い……と思う。
 ともかく……
 ……この子に最初に出会ったのが、ボクで本当に良かった……。

「ダメ、だよ……キミは、逃げなくちゃ……」

 ボクは大鎌を降ろし、その場に膝を着いてユニコーンと目を合わせた。
 ユニコーンは黙ったまま、ひたすらじっと視線を返してくる。

「人はね……みんな、キミを狙ってる。酷いことを、いっぱいしてくるんだよ……? だから、キミは誰にも見つかっちゃいけない。逃げて逃げて、しっかり生き続けなくちゃいけないんだよ……?」

 ユニコーンは『?』と言った感じに、また小首を傾げた。
 それだけに留まらず、その子はボクの顔に臆することなく近づき……頬に鼻先を擦り付けていた。

「コラ……なにを――――あ……ボ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ