42:人の本質
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など。
「……人なんてッ、みんな……――消えてしまえェェエエッッ!!」
振り向きざまにボクは絶叫し、大鎌を背後の気配へと振り下した。
―――――。
「――――……………」
ボクは……その振り下ろす大鎌を、途中で止めていた。
ボクの背後には、名をマーブルと言っていた女は立ってはいなかった。
そもそも、そこにいたのは人間ではなかった。
今、ボクの目の前には……
「…………ル……ルビー……?」
ルビーが、四本足で立っていた。
ボクよりも小さな体で、ボクを不思議そうに見上げている。
「なん、で――」
ボクはここまで言い掛けて、すぐに首を横に振った。
……この子が、ルビーであるはずが無い。
ルビーは、確かにボクの目の前で殺されたのだから。
その心は、形見になってしまったのだから。
そしてその形見は、まだボクが持っているのだから。
なにより、よくよく見ればその子の目は、ルビーの目ではなかった。
色こそルビーと変わらない、その名の通りの透き通る深紅だが、ボクを見つめるその目は無垢な印象を受ける、まん丸の瞳だったのだ。
「キミは……」
ボクはそのユニコーンと視線を交わす。
この子は……ルビーとは違うミストユニコーンなのだろう。しかも、恐らくは……この世界で最後の生き残りの。
そして不思議なのは、その子はボクと見つめあったまま、逃げようともしない。
ボクは直感する。……長年、あらゆる動物と目を合わせて触れ合ってきたから、分かる。
この子は……今まで人を見たことが無い目をしていた。
何も知らない仔馬らしく、やや好奇そうにボクを見ては、不思議そうに小首を傾げている。
非好戦的モンスターであるのに、脱兎の如く逃げ出さないのはやや疑問ではあるが――そういう性格、なのだろうか――……プレイヤーに攻撃しないというだけでも、突き詰めれば『非好戦的』という言葉に準しているので、システム的にも問題は無い……と思う。
ともかく……
……この子に最初に出会ったのが、ボクで本当に良かった……。
「ダメ、だよ……キミは、逃げなくちゃ……」
ボクは大鎌を降ろし、その場に膝を着いてユニコーンと目を合わせた。
ユニコーンは黙ったまま、ひたすらじっと視線を返してくる。
「人はね……みんな、キミを狙ってる。酷いことを、いっぱいしてくるんだよ……? だから、キミは誰にも見つかっちゃいけない。逃げて逃げて、しっかり生き続けなくちゃいけないんだよ……?」
ユニコーンは『?』と言った感じに、また小首を傾げた。
それだけに留まらず、その子はボクの顔に臆することなく近づき……頬に鼻先を擦り付けていた。
「コラ……なにを――――あ……ボ
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