第二話 全員受けるその七
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「練習をさせて頂きます」
「それではな」
「ただ」
ここで飛鳥はこうも言った。
「私大谷選手にはとても及びません」
「ぶもっ」
牛になっているレイも首を横に振った、そして飛鳥はさらに言った。
「恐ろしいまでのお力なので」
「そうだな、あの人はバケモンだ」
竜之介も認めることだった。
「うちの糞親父とは別の意味でな」
「そういえばおじさんおられないっちゃ」
ラムは手を目の上にやって彼を探しつつ言った。
「何処行ったっちゃ」
「親父なら今は店にいるからな」
竜之介はラムに答えた。
「気が向いたら練習にも来るだろ」
「そうっちゃね」
「ああ、けれど俺も親父もな」
竜之介は今度は悔しそうに言った。
「あの人にはな」
「やっぱり勝てないっちゃね」
「チームで挑んでもな」
野球は団体競技であることからも話した。
「勝てないだろ」
「あの人のチームも強いっちゃ」
「あの人との勝負でもチームと勝負するしな」
「尚更っちゃな」
「勝てないだろ」
「おい、俺思うんやけどな」
テンもユニフォームを着ている、そのうえであたるの顔の横に浮かびつつ言った。
「あの人には絶対に勝てんやろ」
「絶対ではない」
あたるはテンにややむっとした顔になって答えた。
「ひょっとしたらだ」
「勝てるっていうんやな」
「俺達が有り得ないまでに運がいいならな」
それならというのだ。
「若しかしたらだ」
「勝てるんかいな」
「京分の一の確率でな」
「兆でもないんか」
「実際それ位だと思わんか」
「確かにな」
テンは腕を組み考える顔になって答えた。
「あの人はな」
「そうだ、到底な」
「勝てる人やないか」
「しかし若しかしたらだ」
そう考えてというのだ。
「挑戦状を送ったのだ」
「そして試合まで練習やな」
「そうしているのだ」
「おいラム、お前空飛べるからな」
ランはラムにこっそりと囁いた。
「大谷選手のボールひょっとしたら捕れるやろ」
「大谷選手がホームラン打ってもっちゃ」
「そやろ」
「ひょっとしても無理っちゃよ」
ラムはランに顔を曇らせて答えた。
「大谷選手は打球も速いっちゃ」
「一八八キロやな」
「そんなスピードだからっちゃ」
そうであるからだというのだ。
「うちが飛べてもっちゃ」
「捕られへんか」
「飛べても限界があるっちゃ」
「やっぱりそうか」
「というかそんな打球他にはないわね」
おユキは冷静に述べた。
「大谷選手以外には」
「誰が打てるんだよ」
弁天は真顔で突っ込みを入れた。
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