第二章
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「その写真のお母さんそっくりよ」
「今のあたしはか」
「遺伝ね、私もだしね」
「三代だな」
「顔立ちもスタイルもね」
どちらもというのだ。
「そうだしね」
「それはいいな、祖母ちゃんにはずっと可愛がってもらっててな」
今日子は母の言葉に笑顔で応えた。
「あの気風のいいあっさりした性格も好きだし」
「面倒見もよくてね」
「だからな」
それでというのだ。
「そうした性格ならな」
「いいのね」
「ああ」
実際にというのだ。
「なりたいな」
「目標ね」
「祖母ちゃんはな、だからあたしはな」
「スケ番でいるのね」
「そうだよ、ただ喧嘩なんてな」
それはというと。
「間違ってもな」
「しないわよね」
「ああ」
それはと言うのだった。
「喧嘩とか嫌いだよ」
「お母さん自分から喧嘩は絶対に売らなかったらしいわ」
「万引きとかもしなかったよな」
「お酒も煙草もね」
そうしたこともというのだ。
「学校もさぼらなかったしいじめなんてね」
「絶対にしなかったよな、あたしもだよ」
「いじめとかしないわね」
「ああ、けれど祖母ちゃん喧嘩強かったな」
「そうだったわ」
「けれどな」
それでもというのだ。
「あたし喧嘩は嫌いだし」
「絶対にしないわね」
「ああ」
それこそというのだ。
「そこは祖母ちゃんと違うよ」
「喧嘩はしなくていいでしょ」
母は何でもない声で述べた。
「別に」
「それもそうだよな」
「ええ、だったらね」
「ああ、喧嘩はしないでな」
「お母さんのお母さん、お祖母ちゃんを目指すのね」
「ああした人になるよ」
こう言ってだった。
今日子は夕食を食べて家に帰ってきた父にお帰りと言ってから風呂に入った、そして祖母の家に行くと今はきりっとした温厚そうな老婆である彼女に孫として接した。その目は輝いていて学校でもそのスタイルで通したのだった。そうして高校の間はずっとスケ番であった。
痩せたスケ番 完
2025・1・21
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