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捨てられた悲しみを乗り越えて
第二章

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「最初は捨てられたショックで塞ぎ込んでいまして」
「実際にそうでしたしね」
「凄く悲しそうでした」
「ですが今は」
「見たところですが」
「ご覧の通りです」
 見ればトニはだった。
 施設のスタッフや他の犬達と楽しく遊んでいる、極めて陽気で人懐っこい感じだ。スタッフはその彼等も見て話した。
「陽気で人懐っこい娘で」
「それが本来の性格ですね」
「この娘の」
「そうした娘なので」
「絶対にですね」
「新しい家族には愛されますね」
「そうなります」
 スタッフは確信して答えた、そして実際にだった。
 トニは優しい家族に迎えられ幸せになった、そしてこのスタッフは今度はだった。
 茶色の垂れ耳の中型の雄犬を見て施設の主任ドナ=ロッチマン金髪をロングにして眼鏡をかけた初老の女性に話した。
「フレオンもです」
「いよいよですね」
「家族に迎えられます」
「そうですね」
「ワン」
 二人でその犬を見つつ話した。
「嬉しいことです」
「全くですね」
「この子も大変でした」
「二週間も空き家にほったらかしで」
「前の飼い主が引っ越す時にです」
 その時にというのだ。
「置いて行かれ」
「ずっと飼い主を待っていましたね」
「はい、ですが」
「飼い主が来る筈がなく」
「それで、でしたね」
「そのままです」
「ご近所の心ある人がご飯をやっていましたが」
「空き家の様子を確認しに来た大家さんに発見され」
「私達に通報されて保護されて」
「最初は飼い主を待って私達を警戒していましたが」
「しかし」  
 それでもというのだ。
「ずっと暑い家の中で餓えていましたが」
「健康も回復して」
「本来の明るく人懐っこい性格も取り戻しました」
「それで、です」
「今度心ある人に家族に迎えられます」
「思えば」
 こうも話した。
「心ない家族に捨てられても」
「その家族を慕うのが犬です」
「それならです」
「悲しい思いをしているならその悲しみを取り除き」
「幸せになってもらわないと」
「全くですね」
 二人でこう話した、そしてだった。
 新しい家族のところに送り出した、そしてその彼フレオンと名付けられた彼が幸せになったと聞いた。すると二人も幸せを感じられた。


捨てられた悲しみを乗り越えて   完


                   2025・1・20
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