第一章
[2]次話
捨てられた悲しみを乗り越えて
ミズーリ州セントルイスでだった。
霧雨の中丁度郵便物を車で配送していた郵便局員達は前を通る自動車が窓から子犬を放り出してそのまま走り去っていくのを見た。
「うわ、何だ」
「子犬捨てたぞ」
彼等はその光景を見た瞬間思わず顔を顰めさせた。
「何てことするんだ」
「最低だな」
「子犬怪我ないか?」
「大丈夫か?」
こう言ってだった。
すぐに車を停めてそこから出てだった。
子犬に駆け寄った、お犬は白い痩せた姿で口と鼻の部分が黒い。ずっと飼い主が去った方を悲しそうな顔で見詰めている。
「クゥン・・・・・・」
「捨てられたのに」
「まだ飼い主を慕っているんだな」
「本当に酷い奴等だ」
「だがもう大丈夫だ」
「俺達がいるからな」
郵便局員達はこう言ってだった。
すぐに子犬を保護した、そしてだった。
すぐに保護施設に連絡した、そのスタッフが引き取ってだった。
「雌で、ですか」
「トニと名付けたんですか」
「はい」
スタッフは郵便局員達に答えた。
「そうしました」
「そうですか」
「それで、ですか」
「すぐにです」
その犬を見つつ話した。
「里親を募集しまして」
「飼い主が決まったんですね」
「新しい家族が」
「はい、健康診断で異常なしで」
そうであってというのだ。
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