第百五十六話 祭りの中でその六
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「絶対にドイツ行きたくないし」
「そんなに怖かったの」
「殆ど吸血鬼っていうより食人鬼だから」
「吸血鬼ってそんな一面もあるしね」
中国の吸血鬼キョンシーにしてもそうである、ただ血を吸うだけでなく人肉を貪ることも吸血鬼には珍しくないのだ。
「それでバーニィっていう吸血鬼は」
「何でも脳味噌まで食べるそうで」
「それ見て怖かったの」
「ドイツの娘に見せても引いてたわ」
「そうだったのね」
「こんなの自分の国にいたのかって」
「そんなに怖かったのね」
「絵がね、顔の下半分お髭で血走った目のおじさんが」
その吸血鬼がというのだ。
「牙生やして女の人の生首持ってたのよ」
「そんな絵で」
「背景も不気味でね」
「本当に怖かったのね」
「日本にそこまで怖い妖怪さんいないでしょ」
「幽霊の方が怖いわね」
日本ではとだ、一華は答えた。
「はっきり言って」
「妖怪さんよりも」
「怨霊が魔王になるからね」
人だった存在がというのだ。
「もうね」
「幽霊の方が怖いわね」
「妖怪さんはね」
「そんなによね」
「ええ」
まさにというのだ。
「怖くないわ」
「そうよね」
「そんな吸血鬼いないから」
バーニィの様なというのだ。
「というかドイツにそんなのいるの」
「その本によるとね」
「どんなのよ」
丁度客がいなくなってだった、一華は自分のスマートフォンを取り出してその吸血鬼バーニィを検索した、そして。
カンボジアの娘が言った通りのイラストを観てだ、眉を顰めさせて言った。
「ああ、これはね」
「怖いでしょ」
「吸血鬼っていうか」
むしろというのだった。
「本当にね」
「食人鬼ね」
「そっちでしょ、まあその区分ってね」
吸血鬼と食人鬼のそれはというのだ。
「曖昧だけれどね」
「それはね」
カンボジアの娘も否定しなかった。
「お話聞くと」
「そうだけれどね」
「バーニィは怖過ぎるでしょ」
「そりゃ子供のころこんな絵観たらね」
それこそというのだ。
「怖いわ」
「ドイツに行きたくなくなるわね」
「ええ」
まさにと答えた。
「怖過ぎてね」
「そうでしょ、だからね」
それでというのだ。
「日本にこうした妖怪さんいないって」
「いいことね」
「毒蛇も猛獣も少なくて」
「狼だってね」
一華はニホンオオカミの話をここでした。
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