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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第238話:包まれる拳
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クリスも数回深呼吸をする事で心を落ち着けた。

「ふぅ……すまねえ、先輩。少し、取り乱しちまった」
「気にするな。それに、雪音の気持ちも分かる。だが心配はやはり無用だったようだぞ?」
「え?」

 翼が指さした先では、透から分離したデュラハンが剣を足元に突き立て、片手で透を遠心力を利用してシャトーの上に投げる様に戻している光景があった。デュラハンは透をシャトーの上に戻すと、そのまま鎧に戻って彼の体を覆い、アーマードメイジとなった状態で再び戦線に復帰していた。クリスはその光景に肩から余分な力が抜け、緊張がほぐれた顔になった。

「透……! そうだな、アタシも頑張らねえとな!」

 クリスが調子を取り戻している一方で、今度はセレナの方が不調を見せ始めた。アリスからの治療と、調整を受け負担が大幅に軽くなったアガートラーム。それらを用いても、まだリハビリが足りていないのかセレナの体には負担が大きかったのだ。
 彼女の姉であるマリアは妹の不調にいち早く気付くと、この場で彼女を唯一癒せる存在であるガルドを急いで呼び寄せた。

「はぁ……! はぁ……!」
「マズイッ!? ガルドッ!」
「ッ!! セレナッ!」

 夜空の下に響くマリアの声に、ガルドもセレナが不調になった事を察し戦闘を中断すると一目散にそちらへと向かっていった。当然その間シェム・ハの力への対処は颯人に集中する事になり、彼は装者とセレナの元へ向かおうとするガルドに攻撃が向かわないよう苛烈な動きが要求されていた。

「んの野郎ッ!」
〈インフィニティー!〉

 咄嗟に颯人はインフィニティースタイル特有の超高速移動により装者へと向かう触手に対処する。しかし通常攻撃がほぼ意味をなさない相手に対しては、ただ単に目にも留まらぬ速度で動けると言うだけでは力不足であり多少の時間稼ぎにしかならなかった。
 結果、彼の奮闘も空しく触手の一つがガルドの背に追いつき背後から彼を押し潰そうとしている。気付いたマリアが思わず手助けしようとした、その時である。

「させるかよッ!」
〈デュープ、プリーズ〉

 突然颯人が魔法を使ったかと思えば、ガルドに襲い掛かろうとしていた触手を《《2人の颯人》》が押さえ付けていた。その光景に響も思わず目を見開く。

「うぇぇっ!? は、颯人さんが2人ッ!?」
「その魔法は、まさか……!」

 颯人は一応コピーと言う分身魔法を持っているが、あれは術者の動きを完全コピーするだけしか出来ない分身を作り出すしか出来ない。だから複数の敵を同時に仕留めたい時や、単純に広範囲を一斉に攻撃したい時などにしか使えない。これとは別にドラゴタイマーを用いる事でも分身する事は出来るが、4属性に属さないインフィニティースタイルでは使えなかった筈。
 だが現実に今
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