2話
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後
俺は夢を見ていた。無数に視点が切り替わり何が起こってるのかさえあやふやで支離滅裂な悪夢を。
そこは戦場。魔法が飛び交い剣や槍を手にぶつかり合う場所。鎧を纏った騎士のような存在や杖を構える魔法使い、ソレらに率いられる兵士のような存在が殺し合っていた。
そこで俺は奴隷のように扱われた雑兵の一人だった。粗末な剣を手に碌に魔法で身体能力を強化して敵へと突っ込む。『魔法使い』が魔法を使うそのための使い捨ての盾のように─そして敵方から飛んで来た炎に焼かれて死んだ。
視点は切り替わる。
多くの人が集まり死ぬ戦場で俺はただの兵士として戦っていた。戦いの狂気に呑まれる戦場にて仲間たちと一緒にただただ走り、飛んでくる矢に当たり倒れそのまま進み続ける味方へ踏みつけられ死んだ。
『…』
次は沢山の人が死に続ける戦場でを俯瞰するように眺める魔法使いであった。魔法陣を空中に描き前方へと照準を合わせて土で出来た無数の槍を放ち続ける。そして風に撃ち抜かれて死んだ。
『ねぇ』
次に俺は騎士のような鎧を着て戦場に立っていた。火を使い身体能力を人を超える程に昇華させ灼熱の剣を振り敵兵を溶断し前へ前へと進み続ける。そして『見窄らしい格好の青い髪の少女』が操る水と自身が触れ生じた爆発に呑まれ死んだ。
次に俺は、次に俺は、次に俺は、次に俺は…無数に生と死がフラッシュバックする。
そして『私』は青い髪の少女としてそこに立ち、仕込まれた術式を発動し全ては赤に染まっていく
『ねぇ』
夢が記憶の整理だと言うのならこの記憶はどこから来たのかソレはきっと─
『…起きて』
柔らかい声が聞こえた。
赤いモノが自分の心から遠ざかり、心と体の接触が噛み合う感覚がする。どうやら目覚めが近いらしい。少女の声と軽く揺さぶられ夢から目を覚ました。────────────────────────────────────────────
意識が覚醒すると情報量の多い悪夢を見たからか頭痛で目を開けるのも億劫に思っていると自分の頭が何か柔らかく温かさを感じる物の上にあることに気がついた。ゆっくりと目を開けると少女の、サーシャと名乗った少女の顔が視界にに入る。
「…知らない天井だ」
ほんとは気絶する前に見た部屋だとわかってはいるけど馴染みのない天井ではあるし人生で一度言ってみたかったセリフを言えたから満足だ。
「えっと…おはよう?」
サーシャは何やら満足気な様子の俺を見て困惑しつつ挨拶をしてくれた。
「ああ…おはよう」
ほぼ初対面の少女に膝枕されて寝起きの挨拶をすると言うシチュエーションで距離感が測れない。
(異世界で遭難して倒れたら美少女に膝枕されてる)
(この状況に一番戸惑っているのが俺
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ