暁 〜小説投稿サイト〜
金木犀の許嫁
第四十九話 忍者の水泳その十

[8]前話 [2]次話
「推理ものに憧れるなら」
「探偵はしない方がいいわね」
「そうです、ですが忍者は探偵にも向いています」
 そうした仕事だというのだ。
「ですからそちらに進まれる方もおられます」
「そうなのね、じゃあ佐京君も」
「あまりなるつもりはないよ」
 佐京は夜空に答えた。
「浮気調査とか好きじゃないから」
「ああいうのって人のドロドロしたもの見るから」
「そう、だから」 
 それ故にというのだ。
「あまりなりたくないんだ」
「佐京君の性格としてはそうよね」
「だから」
 それでというのだ。
「他のお仕事に就きたいよ」
「忍術を使っても」
「うん、高い場所でも働けるし」
「じゃあ建設業とか高層ビルの窓拭きも」
「出来るよ」
 夜空に即座に答えた。
「安全第一でね」
「出来るのね」
「うん、工事現場でもね」
「高い場所で働けるのね」
「そうだよ、アルバイトじゃないけれどやったことあるよ」
 微笑んでだ、佐京は夜空に話した。
「そっちもね」
「そうだったの」
「命綱付けて」
「命綱は欠かせないわね」
「うん、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「やっていっているよ」
「そうなのね」
「そして」
 佐京はさらに話した。
「アルバイトしようと思っても」
「窓拭きとか出来るのね」
「そうなんだ」
 実際にという返事だった。
「工事現場でもね」
「それが忍者なのね」
「うん、だからね」
 それでというのだ。
「いざという時は」
「窓拭きとかするの」
「するよ」
「私には無理ね」
 夜空は佐京のそうした話を聞いて自分のことを振り返った、そうしてそのうえでこう言ったのだった。
「そうしたことは」
「高い場所で働くことは」
「肉体労働もね、多分ね」
「出来ないんだ」
「運動好きじゃないし」 
 だから先程も泳がず浮き輪の上にいたのだ。
「体力もね」
「ないんだ」
「家事やお料理が出来ても」
 それでもというのだ。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「肉体労働は無理だから」 
 自分で言うのだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ