第一章
[2]次話
会長の妹の秘密
その会社は前社長であり今は会長である長島利平が立ち上げ瞬く間に大きくした、そして今の社長である彼の妹優香もやり手だが。
経営手腕よりもだ、その顔立ちとスタイルが知られていた。
黒く長い波がかった髪の毛に大きな切れ長の二重の目に色白の形のいい顎を持つ顔に高い鼻に赤い唇と形のいい耳を持っている。
背は一五八位でグラビアアイドルの様なスタイルだ。美人と評判だった。
「美人でやり手か」
「凄いな」
「会長の妹ってだけじゃないな」
「まさに才媛だな」
こう言われていた、そして。
大柄で筋肉質で黒い髪をセットした鋭い目の会長はこう言うのだった。
「妹に手を出すなよ」
「は、はい」
「そんなことしませんよ」
「社長には」
「会長さんの妹には」
「そうだ、俺の妹だ」
社員達に凄む様に言うのだった。
「だからだ」
「わかってます」
「本当にそんなことしないですから」
「安心して下さいよ」
「間違ってもですから」
「その時は只で済むと思うな」
明らかに本気の言葉だった、それでだった。
優香は孤高の存在高嶺の花になっていた、穏やかな人柄も人気だったがそれでも会長の兄の存在が大きく。
誰も声をかけなかった、その為彼女のプライベートは謎だったが。
ある日彼女の部屋に来てだ、彼利平は言った。
「今もだな」
「ええ、武士君とね」
「楽しく暮らしているわ」
「そうしているわ」
兄ににこりと笑って答えた。
「いつも通りね」
「それは何よりだな」
「今はお仕事でいないけれど」
「ドラマの撮影でだな」
「宮崎に行ってね」
それでというのだ。
「いないわ」
「そうだな」
「けれどね」
優香は兄ににこりと笑って答えた。
「毎日ラインとメールで挨拶送ってくれて」
「いつも通りだな」
「お土産もね」
これもというのだ。
「買ってくれるし」
「そうか、それじゃあな」
「ええ、帰ったらね」
彼がというのだ。
「またね」
「仲よく暮らすな」
「そうするわ」
「いつもな」
兄は妹に会社では見せない優しい笑顔で話した。
「お前と武士君は寄り添ってるな」
「べたべたしてるわね」
「そうも言えるな」
実際にというのだ。
「本当にな」
「そうよね」
「若手の売れっ子俳優でな」
「池田武士っていうとね」
「もてそうだがな」
「それがね」
夫がとだ、優香は話した。
「私に夢中で」
「大学のゼミで知り合ったな」
「同級生とね」
「お前もそうでな」
「二人共ね」
「ずっとそのままでいるんだ」
妹に笑って話した。
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