第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその七十一
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「参考になれば」
「有り難いですね」
「回想録は歴史の資料でもある」
その時代の面白い書であるだけでなくというのだ。
「そうでもある」
「だからですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「書けるのならな」
「書かれて」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「残したい」
「左様ですね」
「そうでなくとも後はな」
「農園ですか」
「実は元々家は農園だ」
キロモトは八条に笑って話した。
「それで兄弟もな」
「農園をされていますか」
「特に兄の農園が大きくてだ」
そしてというのだ。
「かなりの面積の葡萄園を経営していてワインもだ」
「そちらもですか」
「造っていて好評だ」
「それは何よりですね」
「それでいつも忙しいと言っている」
機嫌のいい言葉だった、それも実に。
「嬉しいとな」
「忙しいことはいいことである」
「連合ではよく言うな」
「はい、忙しいということは」
「それだけ糧を得ているということだ」
「ですから」
その為にというのだ。
「よいことです」
「そう言っている、兄もな」
「やはりそうですか」
「弟も言っている、また妹もだ」
彼等もというのだ。
「やはりな」
「お忙しいですか」
「農園は投資も多く収益は大してでないとも言っているが」
それでもというのだ。
「それでも軍隊にいるよりはな」
「収益がいいですか」
「軍は公務員だ」
軍人はというのだ。
「忙しさは普段はそうでなくとも」
「給与はですね」
「公務員ならな」
「一定ですね」
「農業は頑張ればな」
「今は気候もコントロール出来る時代ですから」
「だからそれだけだ」
努力すればというのだ。
「それだけだ」
「利益を得られますね」
「そうした仕事だ、その農業にな」
「戻られますね」
「軍人はやりがいがあった」
キロモトは最初の職業の話もした。
「実にな」
「私もそう思います」
八条も元軍人として応えた。
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