第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第1話 え? 俺が使い魔ですか?
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としたら、ソイツはアホ。ほぼ、全速力で走っていた自転車から宙に投げ出されたら、余程の幸運に恵まれない限り、擦りむいただけで終わる訳は無いでしょう。
いくら叩き付けられた先が、土と柔らかい若草に覆われた地面だったとしても。
これはつまり、俺の生来の能力を咄嗟に発動させたから、擦りむいただけで終わったと言う事ですから。
そうしたら、次は……。
「ウィンディーネ」
俺は、再び式神を封じたカードを取り出し、水の精霊ウィンディーネを召喚する。
今度は空中に描き出される召喚円。そして、そこに集まる小さき水の精霊達。それにしても、悪魔や精霊と呼ばれる連中は、イチイチ派手な演出を行う連中ですね。俺を相手に、そんな示威行為のようなマネをしても仕方がないと思うのですが。
もう、二年以上の付き合いと成る間柄ならば……。
彼女ら……式神たちとの出会いなどから、少し昔の嫌な思い出が頭の中で再生されかけ、慌ててリセット。今はそんな感情など必要はない。
それに、古より悪魔の召喚と言うのはこの形。昔からのスタイルと言うのは、それ自体に神話的な力が籠められていますから、これはこれで仕方がない事なのですが。
無理矢理に前向きな方向へと思考をリセット。その間に派手な演出を伴った召喚は終了。
そして……。
そして、その派手な演出の納まった後に立つのは一人の女性。銀と蒼を基調としたアール・デコ調のアンティーク・ドレスに身を包んだスレンダーな女性。水の精霊ウィンディーネの姿が其処には存在して居ました。
詰襟の学生服の俺と、アール・デコ調のドレス。脇から見ているとどちらが主で、どちらが従なのか分からない取り合わせの二人。
しかし――
「すまんけどウィンディーネ。ちょいと怪我したみたいやから、治してくれるかいな」
そう依頼を行いながら、周囲の雰囲気の確認を行う俺。尊大な……如何にも命令して居ます、と言う雰囲気ではない。しかし、明らかに俺の方から何かを依頼していると言う事は分かる雰囲気を醸し出しながら。
良し。俺に対する感覚は、驚愕以外の物は存在しては居ませんね。少なくとも侮るような雰囲気を感じる事はないようです。この雰囲気の中でならば、俺は、俺に取って有利な形で交渉を行う事が出来るでしょう。
そう。実は、これは原住民達に対する俺の示威行為。何故ならば、俺は、俺の能力を示す以外に、交渉のやりようがないですから。交渉事には常にハッタリ。つまり、ブラフは必要でしょう。ここで、俺の能力を多少、明かして、アガレスの行っている交渉をこちらに有利な形に持って行く。これぐらいの事はやって置く必要は有りますから。
流石に、ここに存在するすべての召喚士たちを相手に戦う事と成るのは勘弁して欲しいで
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