第一章
[2]次話
仕組む奴の末路
騙される奴が悪い、詐欺師の古閑与久の口癖はこれだった。小さな細い目と面長の白い顔に黒いセットした髪を持つ小柄で痩せた男だ。屈んだ風な姿勢だ。
彼は様々な手口で人を騙して儲けていた、それで何度か捕まっているが。
「刑務所に入ってもな」
「変わらないな」
「そうだ、むしろな」
仕事仲間に笑って話した。
「刑務所の中にもお仲間がいるんだ」
「同じ詐欺師がな」
「そいつ等と話してな」
「お互い詐欺の手口を勉強するな」
「ああ、そしてな」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「より上手に騙せる様にするな」
「そうするんだよ」
笑って言うのだった。
「詐欺も勉強だ」
「如何に騙すか」
「それが出来るからな」
だからだというのだ。
「刑務所に入ってもだ」
「気にしないな」
「どうせ死刑にならないしな」
詐欺罪ではというのだ。
「軽い罪だ、それに出てもやるんだ」
「詐欺をな」
「だったらな」
「刑務所なんてだな」
「何でもないさ」
笑って言うのだった、兎角だった。
古閑は詐欺を続けていた、今度は株で行いある柄の悪い男を騙した、この男は彼にとってはカモの一人だった。
かなりの金を持っていて儲かったと思った、それでその騙した金で銀座で豪遊していたがある夜のことだ。
「こいつだ」
「こいつですか」
「こいつが兄貴騙したんですか」
「そうなんですね」
「ああ、見つけたぞ」
後ろから声がした、そして。
古閑は逃げる間もなく囲まれた、見れば明らかにその筋の者達だ。そしてその中にあの男がいて言ってきた。
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