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一応お金をかけたお洒落
第一章
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                一応お金をかけたお洒落
 引いた、見た瞬間に。
 広島市の繁華街で働いている小田巧はその人達を見て逃げだしたくなった。彼自身は黒髪を短くした面長で優しい顔立ちの青年で背は一七一位でひょろりとしている。
「あの、うちああした人達も」
「ここ何処だ」
 店長の小早川伊織は平然として返した、がっしりとした力士の様な体格の大男で黒髪はスポーツ刈りで目が細い。
「一体」
「広島の繁華街です」
「だったらわかるだろ」
「ああした人達も来ますか」
「普通にな」 
 その見てわかる人達を見つつ小田に話した。
「お客さんとして来るぞ」
「そうなんですね」
「君は今日から働くが」 
 この店でというのだ。
「毎日な」
「来ますか」
「そうだ、わし等には何もしないからな」
「絡んだりしないですか」
「安心しろ、金払いもいい」
「ツケとか言って踏み倒したりも」
「しないぞ、お金持ってるからな」
 だからだというのだ。
「ちゃんとな」
「そうなんですね」
「ああ、だから安心するんだ」
「ヤクザ屋さんでもですね」
「そうだ、ここでヤクザ屋さん無理ならな」
 広島の繁華街でというのだ。
「やっていけないぞ」
「それが広島ですね」
「暴走族もな」 
 こちらもというのだ。
「いるしな」
「廣島何とかですか?」
「あれは漫画だけれどな」
「ここはそうしたところですね」
「君も広島生まれだろ」
「平和なところですよ」  
 市内でというのだ。
「普通の住宅街で」
「ヤクザ屋さんのいないか」
「はい、大学もこっちで」
 店にはアルバイトで入っている。
「そうなんですが」
「周りにいなかったか」
「ずっと。ですがここは違いますね」
「ああ、だからな」 
 それでというのだ。
「受け入れてな」
「やってくことですね」
「そうだ、いいな」
「わかりました」
 小田は小早川の言葉に頷いた、そうしてヤクザ屋さん達の注文も受けた。すると彼等は仲間内では物騒な感じだったが。
 店員には穏やかで紳士だった、しかも服が汚れない様に気をつけており品をまずは自分達から離れた場所に置いてもらい。
 丁寧に両手で持って自分達の前に置いた、そうして飲み食いをしていた。
 小田はそのことを見てだ、小早川に話した。
「紳士でしかも品の扱い丁寧ですね」
「当たり前だろ、服はな」
 小早川は小田にすぐに答えた。
「上等のものなんだよ」
「スーツが、ですか」
「あの白いスーツもズボンもな」
 どちらもというのだ。
「真っ赤なブラウスも派手なネクタイもな」
「高価なものですか」
「金時計もネックレスもな」
 そうしたものもというのだ。
「全部な」
「高いものですか」
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