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ハッピークローバー
第百五十五話 他人の幸せその十三

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「いいところなんてね」
「ないのね」
「そうでしょ」
 こうかな恵に話した。
「もうね」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「いいところがない人は」
「教会にいた人みたいに」
「餓鬼なのね」
「実際この人いいお話ないでしょ」
 かな恵に問うた。
「そうでしょ」
「ええ」
 かな恵も否定しなかった。
「聞いたことないわ」
「そうでしょ」
「悪いお話しかなくて」
 そうであってというのだ。
「全くよ」
「聞かないわね」
「そんな人も珍しいけれど」
「その珍しいケースはね」
「餓鬼ってことね」
「そう、餓鬼で」 
 そうであってというのだ。
「餓鬼になるとね」
「もうどうにもならないわね」
「今お話している人みたいにね」
「誰が何しても変わらなくて」
「最低なままでね」
「どうしようもないのね」
「世の中ね」
 一華は深く考える顔で言った、それは世の中それに人間というものについての考えからくる顔であった。
「助かる、よくなるにもね」
「それにもなの」
「ある程度のものがないとね」
「よくならないわね」
「全くのゼロだとね」
 そうであるならというのだ。
「何にもならないでしょ」
「数学だとそうよね」
「ゼロは一を足したら」
 そうすればというのだ。
「そこからどうにかなるけれど」
「その一さえ備わらないなら」
「もうね」 
 それこそというのだ。
「成長しないのよ」
「そうなのね」
「ゼロであっても」
 それでもというのだ。
「ゼロであることに気付かなくて」
「一でも足さないなら」
「それならね」
「どうにもならないのね」
「そうだと思うわ」
 かな恵に話した。
「その気付く位のものがないと」
「救われないのね」
「成長もしないのよ」
「今お話している人はまさにゼロで」
 富美子は難しい顔で述べた。
「それで今もゼロのままね」
「もう七十過ぎみたいだけれどね」
「それだけ生きてゼロのままね」
「五十位の頃で」
「本当にいい歳ね」
「子供だってね」
「ああ、精神年齢が」
 富美子はすぐにわかった。
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