暁 〜小説投稿サイト〜
不遇水魔法使いの禁忌術式(暁バージョン)
1話
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[9] 最初

「新しい命をあなたにあげる。だから…私のために戦って…私のために血を流して」

少し躊躇いながら最後の言葉を口に出す。

「私のために死んで欲しい」

そして俺は朦朧とする意識の中にも入って来た契約を聞いて…自身の腕の中で目を合わせている少女の手を迷うことなく掴む。

「そっか」

その意思を確認した少女は悲しさと嬉しさの混ざった表情で微笑んだ。

「ありがとう…ごめんね」

穏やかに悲しそうに微笑んだまま―彼女の顔が自身の顔へ接近する。咄嗟に反応できない。彼女を警戒していたとしても瞬きする暇もなく、呼吸する暇もなく、視界の中で、その表情は悲しげなまま。

初めての口付けは血の味がした。

「これで契約は結ばれたわ」
「私はサーシャ、水の魔法使い、禁忌術式にて災厄を齎した者」

「起きたらあなたの名前を聞かせてね?」

身体が内側から組み替えられていくような感覚と今まで忘れてきた痛みが蘇りながら段々と遠ざかって行く中、不意に近づいた彼女から感じた血以外の甘い香りが頭によぎりながら今度は彼女の、サーシャの胸へと倒れ意識をなくしてたのだった。
[9] 最初


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