1話
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ップや棘でも出てきそうな場所もあった。今のところは罠が起動するスイッチは踏まずに進めている。この砂漠の影響を受けているのに正常なのかはわからないが警戒するに越したことはない。
「…まるで…ゲームに出てくる墓所みたいだ」
こんな感想しか出てこない自分に対して苦笑する。ここは明らかに人の手が入っている場所であり、材質についてはよくわからないがしっかりとした石を削り出して規則正しく積み上げて作った建物であり装飾のような物は見当たらない。そして明らかに奥へと進んでほしくは無いという意思が組み込まれているのだろう。
「まさか完全に閉じ込められたってことは」
不安を思わず口にするが首を振って思考を振り払う。しばらく進むが未だ外へ繋がりそうな場所は見当たらない。進んでいる途中に他へ分岐する道もあったが何もない行き止まりか砂が入り込んでまともに進むことは出来なかった。
その苛立ちか不明瞭な視界によるものか未だに悪化し続ける体調によるものか一瞬だけ集中を切らしてしまう。そして不運にも現在も稼働しているトラップを稼働させてしまう。
ビュンと何か飛んで来たような音が聞こえたと感じた時には遅かった。
「うぁっ…ぐぅ…ぁぁ」
脇腹の皮と肉が抉られ切られたようだ。傷口が熱い。咄嗟にうずくまる。その上を何本かの矢が飛んでいる。少し反応が遅かった他の矢にも当たって即死だっただろう。
「な…なんだ…これはぁ…」
「腹から血が…変なのが見える…腸だ…腸が…ははは…」
自分の皮一枚下のグロテスクさに口元を抑え大きな傷に混乱しているのか可笑しなことを口走る。そして混乱する頭の中で呻き声を出しながらこれ以上自分の身体から何か出てこないように無理やり清潔だった制服とベルトで結ぶようにして壁を背に座りそしてはぁはぁと息を荒げながら必死に立ち上がる。
「諦めても…」
ほんの少し脳裏によぎるその考えを痛みの中で否定する。
「嫌だ…俺は」
血をポタポタと地面へ落としながらも壁を頼りに歩きそしてたどり着いた道は更に奥へと進むものだった。その道を進む時にまるでどこまでも深い穴を落ちていくのかと感じていた。
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「ここから脱出して…砂漠からも出て…それから俺は…」
怪我をした腹から何も出て行かないように抑えながら痛みに喘ぐ。
「何をしてでも帰るんだ」
追い込まれた声で言い、このまま死んでしまいそうな状況から目を逸らし続ける。
そうして壁に体を預けながらも進み続け、階段の底にたどり着く。
そこは不気味で怖気させられるような空間だった。
開けた空間に騎士を思わせる意匠の2、3メートルはある像
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