1話
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な寒さに襲われる。澄んでいる冷えた空気を吸い、暑さの残った身体から熱が逃げマシになった体調で夜空をひとりぼっちで眺める。
「ああ…ほんとに異世界なのかもな」
全く見覚えのない星の配置を眺めて何か目印になりそうなものはないのか観察するが水分の足りてない状況で視界の端が歪んで見える。ここには自分に繋がるモノは何もないのだと突きつけられる。
「ちくしょう」
脱水症状で喉に固まりが詰まったように感じ声を出すのも苦しい。だが砂漠という絶対的な孤独から逃れるためには声を出すしかない。そうでもしないとおかしくなってしまいそうだった。自分じゃどうしようもない現実へ口汚く文句を言いながらも少しずつ進み始める。暑さによって苛まれた身体を癒すようにも一時は感じられた寒さに襲われ体の震えは止まらない。
そしてたった一人備えなく彷徨った結果のどこにでもいるような普通の少年の身体はそれだけで限界を迎え…身体は地面に倒れ伏す。
「あ…れ、手足が…」
砂地に倒れ込む形になったがあまり痛みはなかった。昼に焼くように熱かった砂は今度は体温を奪い去っていく。頭から倒れたからか砂が動くような風の音が近く聞こえる。地面に着いた手足を動かそうともがくが砂を多少動かす程度でそれ以上のことはもうできない。悔しくて悔しくて砂を握り込むように手が動くが指の間から溢れて何も掴めはしない。そしてそのまま目を閉じて…
「嫌だ」
このまま終わりたくないのだと足掻く這うようにでも動こうと無理に身体へ力を入れる。意識が遠のき始めた中で砂が動くようなどこか下の空間へ落ちていくような音の方へと這っていく。
「俺は…死にたく…一人で…まだ…何も残せて…」
そして自身が砂に沈むように動いていく感覚を最後に意識を失った。
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顔に水滴が落ちてくる感覚で目を覚ます。
「ここは…?」
あたりを見渡すと石造りの部屋のような場所だった。壁が崩れて砂が落ちてくることに巻き込まれて奇跡的に部屋の内側に転がり込んで助かったようだ。
何故か湿った空間が広がっていた地下の冷たく澱んだ空気の飲み水になりうる物はないのかと水の匂いなどを感じる方へと幸いにも使えたスマートフォンを片手に持ち明かりとして進んでいく。砂を噛んだスニーカーと石の床が擦れる感覚に不快感を覚えながらも奥へ奥へと進んでいく。
淀んだ空気の中で周囲を見渡しても苔のようなモノもない。まるで石しかないような時の止まったようなここも上の砂漠のような命のない空間であると感じさせられる。壁に手をつきながら怠さのある体を支えながら前へ進む。所々に穴の開けられて如何にも矢が飛び出しそうなトラ
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