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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#14
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…!!」

 今回、ベイラリオ侯爵家門や傘下の貴族家は参戦していない。

 まさか、この不利な状況で討伐を成功させられると思っていなかったというのもあるが────参戦できるような貴族家は(ことごと)く、皇都入りしていなかったからという理由が大きい。

 一つだけでも息のかかった貴族家が参加していたなら、ルガレド皇子の指揮に言いがかりをつけるなり、その貴族家の手柄にするなりできたのに。

 運の悪いことに───今回、参戦した貴族家は、反皇妃派か中立派に属しているだけでなく、それなりの権力を持っている貴族家ばかりだ。圧力をかけることも、言い包めることもできない。


 ビゲラブナは、ルガレドの皇子邸に差し向けたはずの暗殺者たちのことを、ふと思い出した。

 そういえば────暗殺が成功したとも失敗したとも報告を受けていない。

「皇子は、皇子邸から指示を出していたのか?」
「いえ、皇子自ら戦場に出て、陣頭指揮を執っていたとのことです」
「は?皇子自身が戦場に出たのか?」
「ええ。ルガレド皇子は何度も魔獣討伐を経験していることを見込まれて指揮権を与えられたわけですし…」

 補佐官に言われて、ビゲラブナはそのことを思い出して────緊急会議で受けた屈辱も一緒に甦って、舌打ちをした。

 何事も自分を基準にしてしか考えることのできないビゲラブナは───ルガレド皇子が皇城から出ずに、貴族の私兵や冒険者どもに魔物討伐を任せて、ただ報告を受けて適当に指示を出すものと勝手に想定していた。自分なら、そうするからだ。

(ということは、暗殺は失敗したということか。何て、運のいい奴だ)

 だが────まあ、いい。

 暗殺者たちには、ルガレドだけでなく、邸にいる使用人も一人残らず殺すように命じてある。

 騒ぎになっていないところを見ると、まだ発覚していないのだろう。ルガレドは皇城に帰還していないのかもしれない。

 討伐に成功して調子に乗った状態で戻ったルガレドが、惨殺された自分の使用人たちを目にして肝を冷やすところを想像して、ビゲラブナは醜悪な笑いを浮かべた。

 元々、ルガレドに暗殺者を差し向けたのは、殺すためというより緊急会議での屈辱を晴らすためだった。暗殺に失敗したとしても、ルガレドに少しでも恐怖を与えられたら、それで満足だった。

 むしろ生きていてくれた方が、もっともっと酷い目に遭わせて────絶望の底まで突き落とすことができる。

(どうせ、これから報復する機会はいくらでもある)

 討伐の失敗を理由に貶めることはできなくなったが────それなら、新たに貶める理由をでっちあげればいい。これまでも散々やってきたことだ。


 ルガレドをどうやって貶めようか────ビゲラブナが
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